「パソコンがもっと賢くなったらいいのに」「AIって難しそうだけど、もっと簡単に使えないかな?」
そんな風に思ったことはありませんか?2025年11月11日、私たちのパソコンライフを根底から変えるかもしれない、非常にエキサイティングなニュースが発表されました。日本のIT大手である楽天グループと、世界的なPCメーカーである日本HPが手を組み、HP製のパソコンに楽天が開発したAI「Rakuten AI」を標準搭載することを発表したのです 1。
これは、単に新しいソフトが追加されるという話ではありません。パソコンの頭脳そのものが進化し、私たち一人ひとりに「専属のAIアシスタント」がつくような未来が、もうすぐそこまで来ていることを意味します。この記事では、AIに詳しくない方や中学生の皆さんにも分かるように、このニュースがどれだけすごいことなのか、そして私たちの生活がどう変わるのかを、3つの大きなポイントに分けて詳しく解説していきます。
そもそも「Rakuten AI」って何?あなたの専属アシスタント
まず、「Rakuten AI」とは一体何者なのでしょうか。一言でいうと、「あなたのやりたいことを理解し、手伝ってくれる超優秀なアシスタント」です。
最近よく聞く「ChatGPT」のように、私たちが話しかけたり、文字で指示したりすると、文章を考えたり、情報を要約したり、翻訳してくれたりします。このようなAIを「エージェント型AI」と呼びます。「エージェント」とは「代理人」や「担当者」といった意味で、まるで人間の秘書のように、私たちの代わりに様々な作業をこなしてくれる存在です。
今回発表された「Rakuten AI」は、このエージェント型AIをデスクトップパソコンで使えるようにしたものです。これまで多くのAIがインターネット経由(クラウド)で提供されていましたが、それがパソコン本体に直接搭載される、というのが今回の大きな特徴です。
何がすごいの?未来を変える3つの革命的ポイント
では、HPのパソコンに「Rakuten AI」が搭載されると、具体的に何がどうすごいのでしょうか?ここでは、特に重要な3つのポイントに絞って見ていきましょう。
ポイント1:ネットがなくても使える!安心・安全な「オンデバイスAI」
今回の発表で最も注目すべきキーワードが「オンデバイスAI」です。これは、AIがインターネット上のサーバー(クラウド)ではなく、あなたの持っているパソコン本体(デバイス)の中で動く仕組みのことを指します。
| クラウドAI(今までの主流) | オンデバイスAI(これからの主流) | |
| 動く場所 | インターネット上のサーバー | パソコン本体の中 |
| ネット接続 | 常に必要 | 不要(オフラインで使える) |
| 処理速度 | ネット環境に左右される | 高速で安定 |
| プライバシー | データが外部に送信される | データがパソコン内部で完結 |
メリット①:オフラインでも使える!
最大のメリットは、インターネットに繋がっていなくてもAIが使えることです。例えば、飛行機の中や新幹線での移動中、Wi-Fi環境がないカフェなど、これまでならAIの利用を諦めていた場所でも、レポートの要約を頼んだり、文章のアイデアを出してもらったりできます。これは非常に画期的です。
メリット②:プライバシーが守られる!
「AIに個人の情報を送るのは少し不安…」と感じる人もいるかもしれません。オンデバイスAIなら、その心配は無用です。あなたがAIに相談した内容や、作成した文章などのデータは、すべてあなたのパソコンの中で処理が完結します。外部のサーバーにデータが送られることがないため、機密情報やプライベートな内容も安心してAIに任せることができます。これは、特にビジネスでパソコンを使う人にとって、非常に大きな安心材料となるでしょう。
メリット③:処理が速くて快適!
クラウドAIは、インターネットの混雑状況によっては反応が遅くなることがありました。しかし、オンデバイスAIはパソコン本体の力で動くため、通信の影響を受けず、いつでもサクサク快適に動作します。思いついた時にすぐAIのアシストを受けられるので、思考が中断されるストレスもありません。
ポイント2:日本のことを一番よく知る「日本語特化AI」
AIアシスタントにお願いごとをする時、微妙なニュアンスが伝わらなくて困った経験はありませんか?海外で開発されたAIは、日本の文化や独特の言い回しを完璧に理解するのが難しい場合があります。
しかし、「Rakuten AI」は、楽天が独自に開発した「日本語に最適化されたLLM(大規模言語モデル)」を搭載しています。LLMとは、AIが言葉を理解し、文章を生成するための「脳みそ」のようなものです。この「脳みそ」が、最初から日本語を深く学習しているため、私たち日本人の話し方や考え方に非常に近い形でコミュニケーションをとることができます。
例えば、
「来週の京都旅行、紅葉が綺麗で、予算は3万円くらいで、あまり混んでいないおすすめのプランを考えてくれない?」
といった、少し曖昧な日本語の指示でも、その意図を正確に汲み取り、最適な提案をしてくれることが期待されます。敬語の使い分けや、ビジネスメールの丁寧な言い回しなども、より自然で適切な表現を生成してくれるでしょう。日本の法令や社会規範にも準拠しているため、安心して利用できるのも大きなポイントです。
ポイント3:楽天サービスと連携して生活が超便利に!
楽天といえば、ショッピングの「楽天市場」、旅行の「楽天トラベル」、金融の「楽天カード」や「楽天銀行」など、70以上の多彩なサービスを展開する巨大な「楽天エコシステム(経済圏)」を築いています。
「Rakuten AI」は、これらのサービスと深く連携します。これにより、私たちの日常生活が劇的に便利になる可能性があります。
具体的な利用シーンの想像
•ショッピング: 「去年の冬に買ったコートに合う、茶色い革のブーツを予算2万円で探して」とAIに話しかけるだけで、楽天市場の購入履歴を元に、あなたにぴったりの商品をいくつか提案してくれます。
•旅行計画: 「来月の3連休で、家族4人で沖縄に行きたい。飛行機とホテル、レンタカーをまとめて予約して」と頼めば、楽天トラベルで最適なプランを検索し、予約手続きまで進めてくれます。
•家計管理: 「今月の楽天カードの支出を項目別にグラフにして。食費が先月より多い原因は何だろう?」と質問すれば、楽天カードの利用明細を分析し、分かりやすくレポートしてくれます。
このように、AIが楽天の様々なサービスを横断して、あなたに代わって情報収集、比較検討、そして実行までをサポートしてくれるのです。まさに「専属のコンシェルジュ」がパソコンの中にいるような感覚です。
いつから、どのパソコンで使えるの?
この未来のパソコンが手に入るのは、そう遠い話ではありません。
•時期: 2026年春から夏にかけて順次販売開始予定
•対象: 日本HPが販売する個人向けおよび法人向けのほぼすべてのPC
来年パソコンの買い替えを検討している方は、この「Rakuten AI」搭載モデルが非常に有力な選択肢になることは間違いないでしょう。HPは世界でもトップクラスのPCメーカーであり、その幅広いラインナップに標準搭載されるインパクトは計り知れません。
まとめ:パソコン選びの基準が変わる「AI PC」時代の幕開け
今回の楽天と日本HPの協業は、本格的な「AI PC」時代の到来を告げる象徴的な出来事と言えます。これからのパソコン選びは、CPUの速さやメモリの容量だけでなく、「どんなAIアシスタントが搭載されているか」が重要な基準になるでしょう。
オンデバイスAIによるプライバシーの保護と快適な動作、日本語に最適化された賢い頭脳、そして楽天の便利なサービスとの連携。「Rakuten AI」は、これからの私たちの働き方や暮らし方を、より豊かで創造的なものに変えてくれる可能性を秘めています。
2026年、あなたの隣には、最も信頼できるパートナーとして「Rakuten AI」がいるかもしれません。このワクワクする未来に期待しましょう。
参考文献
[1] 楽天グループ株式会社. (2025年11月11日). 楽天と日本HP、HPのPCに「Rakuten AI」を初導入. プレスリリース.

