GPT-5.6 Sol|毎秒750トークンの衝撃と政府承認待ち

伊東雄歩
監修者 伊東 雄歩

株式会社ウォーカー CEO。東北大学卒。MENSA会員、JDLA認定講師、健全AI教育協会理事。生成AI×教育・学習科学を専門とし、2億円超のシステム開発プロジェクトを統括。

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  • OpenAIが次世代モデル「GPT-5.6 Sol」を2026年6月26日にプレビュー公開したことがわかります
  • Cerebrasという特別なチップを使い、最大で毎秒750トークンという桁違いの速さを出すことがわかります
  • いつもと違い、米政府の承認待ちで「一部の相手だけ」に配る限定公開になった理由がわかります
  • 「Sol・Terra・Luna」という3つのモデルの違いと料金がわかります
  • Claude や Gemini などライバルと比べてどこが強いのか、日本の私たちにどう関係するのかがわかります

新しいAIが出るたびに「今度はどれくらい賢くなったの?」と気になったことはありませんか。今回OpenAIが公開した「GPT-5.6 Sol」は、賢さだけでなく速さ公開の仕方でも大きな話題になりました。しかも「米政府の承認が下りるまで一部の相手にしか配らない」という、これまでにない異例の形です。この記事を読むと、その中身と私たちへの影響がまるごとわかります。

GPT-5.6 Solとは何か

GPT-5.6 Solは、ChatGPTを作っているOpenAIのいちばん新しくて強力なAIモデルです。

発表されたのは2026年6月26日です。

「Sol」は太陽を意味する言葉です。今回は太陽(Sol)のほかに、地球(Terra)、月(Luna)という3つの名前のモデルが同時に登場しました。

LLM(人間みたいに文章を書けるAI)の世界では、数字が上がるほど新しくて賢いモデルになります。GPT-5.6は前の世代のGPT-5.5をさらに進化させたものです。

「プレビュー公開」ってどういう意味?

今回は誰でもすぐ使える「一般公開」ではありません。

「プレビュー公開」という形が取られました。

これは、信頼できる一部の企業や相手にだけ先に試してもらう、いわば「先行お披露目」の期間です。OpenAIは「数週間のうちに広く使えるようにする予定」と説明しています。

最大の注目点は「毎秒750トークン」の速さ

GPT-5.6 Solでいちばん驚かれたのが、返事の速さです。

OpenAIは、Cerebras(セレブラス)という会社の特別なチップの上でSolを動かし、最大で毎秒750トークンという速度を2026年7月から提供すると発表しました。

トークンとは、AIが文章を扱うときの「言葉のかたまり」のことです。日本語ではだいたい1文字〜数文字が1トークンにあたります。

毎秒750トークンというのは、長い文章がほぼ待たずに一気に表示されるレベルの速さです。今回のパートナーは、これで従来より大幅に速い応答が実現すると期待を語っています。

なぜそんなに速くできるの?

ふつうAIは、GPU(画像処理から発展した計算チップ)をたくさん並べて動かします。

一方Cerebrasは、お皿のように大きな1枚のチップにたくさんの計算回路を詰め込んでいます。

データがチップの外を行き来する回数が減るため、返事を作るスピードが上がるのです。速さが命のチャットや音声対話では、この差が体感で効いてきます。

なぜ「米政府の承認待ち」の限定公開なのか

今回いちばん異例だったのが、米政府の承認を待つ限定公開という点です。

ホワイトハウスの「国家サイバー長官室」と「科学技術政策局」が、OpenAIに対して「最初は政府が認めた相手だけに公開してほしい」と要請しました。

理由は、GPT-5.6 Solがサイバーセキュリティ(コンピューターを守る/攻める技術)の分野で、これまでにない高い能力を持っているからです。

「便利すぎて危ない」という悩ましさ

OpenAI自身のテストでは、Solは社内のサイバー攻撃課題で96.7%という高いスコアを出しました。

これは同社の安全基準で「High(高リスク)」のラインを超える数字です。

ただし、いちばん危険な「Cyber Critical(致命的)」のラインは超えていません。ブラウザの脆弱性(プログラムの弱点)を見つける実験でも、弱点は指摘できましたが、自動で完全な攻撃を最後まで組み立てることはできなかったと報告されています。

強力な道具は、守る側にも攻める側にも使えます。だからこそ「いきなり全員に配るのではなく、段階的に広げよう」という判断になりました。

OpenAIは、この限定公開を「短期的な措置」だと説明しています。政府とサイバーセキュリティの新しい枠組みを作りながら、数週間かけて広く公開へ進める方針です。

Sol・Terra・Luna 3つのモデルの違い

GPT-5.6には、目的の違う3つのモデルがあります。用途に合わせて選べるのが特徴です。

  • Sol(ソル/太陽):最上位の旗艦モデル。いちばん賢く、安全対策も最も手厚い。難しい仕事向け。
  • Terra(テラ/地球):毎日の作業にちょうどいいバランス型。前世代より約2倍安い。
  • Luna(ルナ/月):速くて安い普段づかい向け。安いのに、意外と賢い場面もある。

気になる料金(100万トークンあたり)

料金は使う量(トークン)で決まります。目安は次の通りです。

  • Sol:入力 $5 / 出力 $30
  • Terra:入力 $2.5 / 出力 $15
  • Luna:入力 $1 / 出力 $6

1ドル150円で考えると、Solの出力は100万トークンでおよそ4,500円ほどになります。一度使った文章を再利用する「キャッシュ読み込み」なら最大90%引きになる仕組みもあり、賢く使えば費用を抑えられます。

新しい2つの機能「max」と「ultra」

GPT-5.6には、じっくり考えるための新機能も加わりました。

1つ目はmax reasoning effortです。Sol専用で、答えを出すまでに最大限の時間をかけてじっくり考えます。

2つ目はultra modeです。1体のAIだけでなく、複数の「サブエージェント(下働きの小さなAI)」を使い、手分けして難しい仕事を速く片づけます。

ライバルと比べてどこが強い?

気になるのは「他の有名AIと比べて本当に強いの?」という点ですよね。

コマンド操作の実力を測る「Terminal-Bench 2.1」というテストの結果を見てみます。数字が高いほど優秀です。

  • GPT-5.6 Sol(ultra):91.9%
  • GPT-5.6 Sol:88.8%
  • GPT-5.5(前世代):88.0%
  • GPT-5.6 Luna:84.3%
  • Claude Mythos 5:84.3%
  • Claude Fable 5:83.4%
  • Claude Opus 4.8:78.9%
  • Gemini 3.1 Pro(プレビュー):70.7%

ultraモードを使ったSolが、他社のモデルを上回ってトップに立っています。

おもしろいのは、いちばん安いLunaが、Anthropic社のClaude Mythos 5と同じスコアを出している点です。「安い=弱い」とは限らないことを示しています。

ただし、これはあくまで一つのテストの結果です。実際の使い心地は用途によって変わるので、参考のひとつとして見るのがよいでしょう。

日本の私たちへの影響

「アメリカの話でしょ?」と思うかもしれません。でも日本にも関わりがあります。

まず、今回の限定公開は米政府向けの措置です。日本を含む世界の一般ユーザーがGPT-5.6を広く使えるのは、この後の一般公開を待つことになります。

次に、値下げの流れです。Terraが前世代より約2倍安くなったように、AIを使う費用は下がり続けています。国内企業がChatGPTを業務に取り入れるハードルも、さらに下がっていくと考えられます。

身近な場面を想像してみましょう。たとえば、ある日本のコールセンターで、問い合わせへの下書き回答をAIが作る場面があります。返事が毎秒750トークンで一気に出れば、オペレーターの待ち時間が減り、対応が速くなります。

また、日本のあるソフトウェア会社が、社内のプログラムの弱点を点検する場面も考えられます。サイバーセキュリティに強いSolなら、弱点探しを手伝わせて、守りを固める使い方ができます。

さらに、個人でブログを書く人が、下調べと文章の下書きをLunaに任せる場面もあります。安くて速いので、毎日たくさん使っても費用が気になりにくいのが魅力です。

よくある質問(FAQ)

Q1. GPT-5.6 Solは今すぐ日本で使えますか?

いいえ、今は米政府が認めた一部の相手だけの限定公開です。OpenAIは数週間のうちに広く公開する予定としているので、一般公開を待つ形になります。

Q2. なぜ政府の承認が必要なのですか?

Solがサイバーセキュリティで非常に高い能力を持ち、悪用の心配があるためです。ホワイトハウスの要請を受け、OpenAIが段階的に公開することにしました。

Q3. Sol・Terra・Lunaはどれを選べばいいですか?

いちばん難しい仕事にはSol、毎日のふつうの作業にはTerra、安く速く使いたいならLunaが向いています。用途と予算で選び分けるのがコツです。

Q4. 「毎秒750トークン」はどのくらい速いのですか?

長めの文章がほぼ待ち時間なしで一気に出てくるレベルです。Cerebrasという特別なチップの上で動かすことで実現しています。

Q5. ライバルのClaudeやGeminiより優れていますか?

コマンド操作のテストでは、ultraモードのSolがトップでした。ただし用途によって得意分野は変わるので、一つのテスト結果だけで決めつけないほうがよいでしょう。

まとめ

今回のポイントを振り返ります。

  • OpenAIが2026年6月26日に次世代モデル「GPT-5.6 Sol」をプレビュー公開した
  • Cerebras上で最大毎秒750トークンという桁違いの速さを7月から提供する
  • サイバー能力が高すぎるため、米政府の要請で承認待ちの限定公開になった
  • Sol・Terra・Lunaの3モデルがあり、用途と予算で選べる
  • コマンド操作テストではultraモードのSolがライバルを上回った

まずはOpenAIの公式発表をチェックし、一般公開のタイミングを見逃さないようにしておきましょう。

参考文献

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