• Googleが2026年9月1日(現地時間)、AI画像生成・編集ツール「Google Pics」の提供を開始しました
  • 画像の中の特定のモノだけを選んで、動かす・大きさを変える・差し替えることができます
  • 画像に焼き込まれた文字を、フォントやデザインを保ったまま書き換え・翻訳できます
  • GoogleドキュメントとGoogleスライドから1クリックで呼び出せます。ドライブ連携は数週間以内
  • 対象はGoogle AI Pro・Ultraの加入者と、Workspace Business Standard以上の企業ユーザーです

「AIで作った画像、だいたい良いのに1か所だけ違う」——そう思ったことはありませんか。これまでは指示文を書き直して、全部作り直すしかありませんでした。Googleが9月1日に出したGoogle Picsは、その1か所だけを直せるツールです。しかもGoogleドキュメントやスライドの中から使えます。

Google Picsとは?9月1日に提供が始まったAI画像ツール

Google Picsは、文章で指示するだけで画像を作り、そのあと細かく直せるツールです。

Googleは2026年9月1日(現地時間)から段階的な提供を開始しました。日本時間では9月2日にあたります。もともとは同年の開発者向けイベント「Google I/O」で予告されていた製品で、そこから一般提供までこぎ着けた形です。

使い方は2通りあります。1つは「pics.new」というURLを開いて単体で使う方法。もう1つはGoogleドキュメントやスライドの中から直接呼び出す方法です。

中身を支えているのは、Googleの画像生成・編集モデル「Nano Banana(ナノバナナ)」です。ふざけた名前に見えますが、Googleが正式に使っているコードネームです。画像の中の文字をきれいに描けること、そして現実世界の知識を持っていることが特徴とされています。

ちなみに海外メディアの一部は、搭載モデルを「Nano Banana 2」と報じています。Google公式は「最新のNano Bananaモデル」という表現にとどめており、細かいバージョン名は明言していません。

目玉は「画像の一部だけ直せる」こと

Google Picsが他と違うのは、生成のうまさよりも生成した後の直しやすさに力を入れている点です。主な機能を3つ見ていきます。

1. モノだけを切り出して動かせる

画像の中の特定のオブジェクト(モノ)だけをAIが認識して切り分ける機能があります。専門用語ではオブジェクトセグメンテーション(画像の中のモノごとの境界線をAIが見つける技術)と呼びます。

これができると何が嬉しいのか。たとえば商品写真で、机の上のマグカップだけを右に3センチずらしたいとします。

従来のAI画像生成なら、指示文を書き直して全部作り直しでした。すると背景も光の当たり方も微妙に変わってしまいます。せっかく気に入っていた部分まで壊れるわけです。

Google Picsは選んだモノだけを動かし、それ以外はそのまま残します。色を変える、大きさを変える、犬を猫に差し替える、といった操作も同じ考え方です。

2. 画像の中の文字を、デザインを保ったまま書き換えられる

これが日本のユーザーにとっていちばん効く機能かもしれません。

ポスターやバナー画像に入っている文字を、フォントや配置を保ったまま編集・翻訳できます。英語のバナーを日本語に差し替える、値段の数字だけ直す、といった作業がその場で終わります。

画像に焼き込まれた文字の修正は、これまでかなり面倒でした。元のデザインデータが手元にないと、フォント探しから始まります。

外注に出して数日待つ会社も少なくありません。

3. 1回の指示から複数の案が出る

1つの指示文を入れると、Picsは複数のパターンを同時に出します。気に入った1枚を選んで、そこから細かく直していく流れです。

「良い1枚が出るまでガチャを回し続ける」やり方から、「そこそこの案を選んで仕上げる」やり方に変わる、と考えるとわかりやすいです。

ドキュメントとスライドに、そのまま乗る

Google Picsのもう1つの強みは、Workspaceに最初から組み込まれていることです。

Googleドキュメントやスライドで画像を選ぶと、1クリックでPicsの編集ツールが開きます。別のタブを開いてダウンロードして、直して、また貼り直す——この往復がなくなります。

チームでの共同作業にも対応しています。リンクを共有して同僚を招いたり、Googleドライブから直接Pics画像を開いたりできます。ドライブとの連携は「数週間以内」に展開予定とされています。

使えるのは誰?対象プランと料金

提供対象は次の通りです。

  • Google AI Pro の加入者(日本では月額2,900円)
  • Google AI Ultra の加入者(日本では月額36,400円・税込)
  • Google Workspace Business Standard 以上の企業ユーザー(年間契約で1人あたり月額1,600円)

Pics単体の追加料金は発表されていません。既存のプランに含まれる形です。

注意したいのは展開が段階的だという点です。9月1日に始まったものの、Googleは「今後数週間かけて」順次広げるとしています。契約していてもすぐ画面に出てこない可能性があります。

Canva・Adobe Fireflyと何が違う?

画像を作って直すツールは、すでにたくさんあります。主要なライバルと比べてみます。

  • Canva:テンプレートから始めるのが基本。SNS投稿やチラシを素早く作るのが得意。ただし写真そのものの精密な加工は苦手
  • Adobe Firefly / Photoshop:プロ向けの精度と印刷対応が強み。生成した部分を元写真の光や色に合わせる作り込みができる。一方で操作の学習コストは高い
  • Google Pics:テンプレートではなく指示文から始める。最初の1枚をAIに作らせて、そのあとを精密編集で詰めるという順番

狙っている層もはっきり違います。Picsが向いているのは、デザイナーではないのに資料や販促物を作らされる人です。営業資料の図版、社内ポスター、簡単な商品画像。そういう「本業ではないデザイン作業」が主戦場になります。

逆に、印刷物の色管理やブランドガイドラインの厳密な運用が必要なら、いまのところAdobe系に分があります。海外メディアも、著作権リスクへの企業対応という点ではAdobeが依然として強いと指摘しています。

そしてGoogleの武器は機能そのものより置き場所です。すでにドキュメントとスライドで資料を作っている会社にとって、Picsは「導入するもの」ではなく「気づいたら画面にあるもの」になります。

日本のユーザーと企業には何が起きるか

日本での影響を考えると、鍵になるのは画像内テキストの編集・翻訳です。日本語は文字数もレイアウトも英語と大きく違うため、海外製の素材をそのまま使えない場面が多くありました。

現場ではこう変わる

ある地方の食品メーカーで、通販サイトを担当している社員を想像してみてください。新商品の紹介バナーを作りたいのですが、社内にデザイナーはいません。これまではテンプレートに文字を置くだけの、どこかで見たようなバナーになっていました。Picsなら商品写真をアップロードして、背景だけを季節に合わせて差し替える、という直し方ができます。

次に、海外向けに製品カタログを出している中小メーカーの担当者。日本語版のPDFに入っている図版を英語にするたび、外注に出して数日と数万円がかかっていました。図の中の文字を直接翻訳できれば、この往復そのものが減ります。

3つ目は、毎週の営業会議用スライドを作る若手社員です。グラフの横に置く挿絵が毎回ありもので、上司から「もう少し伝わる図に」と言われ続けている。スライドの画面から離れずに図版を作り直せるなら、作業時間そのものが変わります。

一方で課題も残ります。日本語のフォント再現がどこまで自然かは、実際に触ってみないとわかりません。AI生成画像には認証用の透かしが入る点も、商用利用の前に確認しておきたいところです。

よくある質問(FAQ)

Q1. Google Picsは無料で使えますか?
いいえ。Google AI Pro(月額2,900円)かUltra(月額36,400円)の加入者、またはWorkspace Business Standard以上の企業ユーザーが対象です。無料枠は発表されていません。

Q2. Googleフォトとは違うのですか?
別のサービスです。Googleフォトは撮った写真を保存・整理するアプリ。Google Picsは画像を作って編集するツールです。名前は似ていますが役割が違います。

Q3. 日本語で指示を出せますか?
基盤となるNano Bananaは多言語に対応しており、日本語を含む複数言語での文字生成が強化されています。ただし日本語フォントの再現品質については、Google公式からの具体的な言及はありません。

Q4. 契約しているのに画面に出てきません
展開は9月1日から「数週間かけて」段階的に行われます。ドキュメント・スライドへの統合が先で、ドライブ連携は数週間以内の予定です。しばらく待つ必要があります。

Q5. 作った画像は商用利用できますか?
Googleは生成画像に認証用の透かし(AI生成であることを示す情報)を入れています。商用利用の可否はプランごとの利用規約に従うため、業務で使う前に契約内容の確認をおすすめします。

まとめ

  • Googleが2026年9月1日(現地時間)、AI画像生成・編集ツール「Google Pics」の提供を開始した
  • 画像の中の特定オブジェクトだけを動かす・変える「部分編集」が最大の特徴
  • 画像に焼き込まれた文字を、デザインを保ったまま編集・翻訳できる
  • Googleドキュメント・スライドから1クリックで起動。ドライブ連携は数週間以内
  • 対象はGoogle AI Pro(月2,900円)・Ultra(月36,400円)とWorkspace Business Standard以上
  • 狙いはCanvaやAdobe Expressの領域。デザイナーではない人の資料作成が主戦場

まずは対象プランに入っているかを確認し、pics.newを開いて手持ちのバナー画像で「文字だけ差し替え」を試してみてください。この機能が実用水準かどうかで、あなたの外注コストが変わります。

参考文献