• GeminiのカスタムAI機能「Gem」が2026年11月17日から「スキル」へ自動移行される
  • スキルはチャット中に「/」で呼び出し、複数を組み合わせて使える
  • スキルの新規作成は現時点で有料プラン(月2,900円〜)限定と報じられている
  • ChatGPTのカスタムGPTも「スキル」形式へ移行中で、業界全体の流れになっている
  • 11月17日までに日本のユーザーがやっておくべき準備

毎日使っている「自分専用のGemini」が、あと7週間ほどで別の形に変わります。Googleは、Geminiの「Gem」を廃止し、後継の「スキル」へ切り替えると告知しました。この記事では、何が変わり、無料ユーザーは何に気をつければいいのかを整理します。

GeminiのGemが廃止、11月17日からスキルへ

Googleは2026年9月27日ごろから、Geminiアプリ内で「Gemは2026年11月17日からスキルになります」という案内を表示し始めました。

Gem(ジェム)とは、Geminiに「決まった役割」を覚えさせておける機能です。たとえば「英語の添削係」や「献立を考える栄養士」のように、指示文を毎回書かずに呼び出せます。

Googleによると、既存のGemは11月17日から自動でスキルに変換されます。ユーザー側の作業は基本的に不要です。移行が終わるまでは、今までどおりGemを使えます。

アカウントの種類で廃止時期が違う

ITmedia NEWSの報道では、廃止のタイミングはアカウントの種類ごとに分かれています。

  • 個人のGoogleアカウント:2026年11月17日から
  • Google Workspace(ビジネス・エンタープライズ・非営利団体):2027年3月
  • 教育機関向け:2027年6月

会社や学校のアカウントでGemを使っている人は、まだ半年ほど余裕があります。一方で、個人アカウントの人は年内に切り替わると考えておきましょう。

後継の「スキル」は何がちがう?

スキルもGemと同じく、Geminiに「いつもの指示」を登録しておく機能です。大きな違いは呼び出し方にあります。

Gemは、サイドバーの一覧から選んで専用の会話を始める仕組みでした。スキルは、ふつうのチャットの中で「/(スラッシュ)」に続けてスキル名を入力して呼び出します。将来は「@」記号での呼び出しに変わる予定とも伝えられています。

複数のスキルを組み合わせられる

もう一つの目玉が、複数のスキルを同時に使える点です。Gemは1つの会話に1つの役割しか持たせられませんでした。

スキルなら「/議事録まとめ」と「/やさしい日本語」を重ねて使う、といった組み合わせが可能になります。さらに、会話の内容に合わせてGeminiが自動でスキルを適用する機能もあるとされています。

Gemが「専用の部屋に入って話す相手」だったとすれば、スキルは「いつもの会話に呼べる助っ人」に近い存在です。

現時点でできないこと

ただし、スキルにはまだ制限があります。ITmedia NEWSによると、次の機能は現時点で対応していません。

  • Canvas(文書やコードを編集する画面)やDeep Research(自動調査機能)などのツールの埋め込み
  • ほかのユーザーとの共有
  • Googleドライブとの連携

また、スキルの利用は18歳以上の個人アカウントに限られます。職場や学校のアカウントへの提供は「近く広げる」とされています。Gemで作り込んだ機能がどこまで引き継がれるかは、まだはっきりしていない部分もあります。

無料ユーザーはどうなる?有料化の懸念

今回いちばん話題になっているのが、無料ユーザーの扱いです。

Gemは、無料版を含むすべてのGeminiユーザーが作れる機能でした。ところがTechCrunchや9to5Googleによると、スキルの新規作成はGoogle AI ProとGoogle AI Ultraの契約者に限られています。作成は、AIエージェント「Gemini Spark」のタブから行う仕組みです。

日本での料金は、Google AI Proが月額2,900円(税込)、Google AI Ultraが月額14,500円(税込)からです。Gemini Sparkは2026年7月末に日本のProユーザーにも提供が始まりました。

気になるのは、無料ユーザーが作ったGemの行方です。移行後のスキルを無料のまま使い続けられるのか、Googleはまだ詳しく説明していません。Android Authorityも「無料ユーザーを見捨てることはないと信じたい」と書いており、海外でも不安の声が出ています。

ChatGPTやClaudeとの比較

実は「カスタムAIをスキルに置き換える」動きは、Googleだけではありません。

OpenAIは2026年8月16日から、個人プランでのカスタムGPTの新規作成を止めました。12月11日にはすべてのカスタムGPTが動かなくなる予定です。移行先の「Plugins」では、GPTの指示文が「Skill」という形式に自動変換されます。

AnthropicのClaudeも、作業手順をまとめた「Skills」を早くから導入しています。Claude Codeでは「/」で呼び出す使い方がすっかり定着しました。

サービス旧機能新機能主なスケジュール
GeminiGemスキル(/で呼び出し)個人は11月17日から移行
ChatGPTカスタムGPTPlugins内のSkill12月11日に完全停止
Claude-Skills提供中

つまり、大手3社がそろって「専用ボットを1つずつ作る」形から「部品を組み合わせる」形へと舵を切ったことになります。1つの会話で複数の能力を使い分けられるほうが、AIエージェント(自分で考えて作業を進めるAI)と相性がよいからだと考えられます。

身近な使い方はどう変わる?3つのケース

ケース1:英語の添削Gemを使う大学生

ある大学生は、レポートを英訳するたびに「英語添削Gem」を開いていました。訳した文章を貼り付け、直してもらったらまた日本語のチャットに戻る。そんな行き来が毎回発生していました。

スキルになれば、ふだんのチャットで「/英語添削」と打つだけで済みます。翻訳から添削までを1つの会話で終えられるので、画面の切り替えが減ります。

ケース2:お店のSNS担当者

小さなカフェでSNSを担当する人を想像してみてください。「お店の口調で投稿文を書くGem」と「ハッシュタグを考えるGem」を別々に作っていたとします。

スキルなら「/お店の口調」と「/ハッシュタグ」を同時に呼び出せます。1回の指示で、投稿文とタグがセットで出てくるわけです。

ケース3:無料版で献立Gemを使う家族

一方で困りそうなのが、無料版で「アレルギー対応の献立Gem」を作っていた家庭です。移行後のスキルを無料で使い続けられるかは、まだわかりません。

さらに、スキルは18歳以上の個人アカウント限定です。子どもが自分のアカウントで作ったGemがどうなるのかも、注意して見ておく必要があります。

日本のユーザーへの影響と今すぐできる準備

日本では、Geminiは無料で使えるAIとして学生や主婦層にも広がってきました。無料で作れたGemが有料機能に寄っていくなら、影響を受ける人は少なくありません。

とはいえ、あわてて課金する必要はありません。11月17日までに、次の3つをやっておくと安心です。

  • Gemの指示文をコピーして保存する:メモアプリやGoogleドキュメントに残しておけば、万一のときも作り直せます
  • Gemに添付したファイルを手元に確保する:ファイルの引き継ぎはまだ不透明です
  • 共有しているGemの相手に知らせる:スキルは現時点で共有に対応していません

会社のWorkspaceでGemを業務に使っている場合は、2027年3月までの猶予があります。社内の手順書などを、今のうちにGem以外の場所にも残しておきましょう。

よくある質問(FAQ)

Q1. 自分で作ったGemは消えてしまいますか?

A. Googleは、11月17日から既存のGemを自動でスキルに変換すると説明しています。作ったGemがいきなり消えるわけではありません。

Q2. 無料版でもスキルは使えますか?

A. 報道では、スキルの新規作成はGoogle AI ProとUltraの契約者向けとされています。移行後のスキルを無料で使えるかは、まだ公表されていません。

Q3. スキルはどうやって呼び出しますか?

A. ふつうのチャット欄で「/」に続けてスキル名を入力します。将来は「@」での呼び出しに変わる予定と伝えられています。

Q4. 会社のアカウントのGemはいつまで使えますか?

A. ITmedia NEWSによると、Workspaceのビジネス・エンタープライズ・非営利向けは2027年3月、教育機関向けは2027年6月に廃止予定です。

Q5. 今のうちにやっておくべきことは?

A. Gemの指示文と添付ファイルを手元に保存しておくのがおすすめです。移行で何か欠けても、すぐに作り直せます。

まとめ

  • GeminiのGemは、個人アカウントでは2026年11月17日から「スキル」へ自動移行される
  • スキルは「/」で呼び出し、複数を組み合わせたり自動適用したりできる
  • 共有・ドライブ連携・Canvasなどは現時点で未対応
  • スキルの作成は月2,900円のAI Pro以上に限られると報じられ、無料ユーザーの扱いは未定
  • ChatGPTもカスタムGPTを12月11日に停止予定で、「スキル化」は業界全体の流れ

まずは今日のうちに、よく使うGemの指示文をコピーして保存しておきましょう。

参考文献