- ebook2audiobookは電子書籍を音声ファイルに変換できる無料のオープンソースソフトです
- 日本語を含む1158言語に対応し、処理はすべて自分のパソコンの中で完結します
- 自分や好きな人の声を学習させる「ボイスクローン」機能も搭載しています
- epubやPDFなど20種類以上のフォーマットに対応し、章も自動で分けてくれます
- Audibleなどと違い「自分が持っている本」を音声化できるのが最大の特徴です
通勤中や家事をしながら「本を耳で読めたらいいのに」と思ったことはありませんか。でも、Audibleにある本は限られていて、手元の技術書やPDFマニュアルは聴けません。そんな悩みを解決するのが、無料のオープンソースソフト「ebook2audiobook」です。この記事では、何ができて、どう使い、日本語の品質はどうなのかをやさしく解説します。
ebook2audiobookとは?無料で電子書籍を音声化するOSS
ebook2audiobookは、電子書籍を音声ファイル(オーディオブック)に変換してくれる無料のソフトです。
開発者はDrewThomassonさんという個人です。プログラムはGitHub(世界中の開発者がコードを公開する場所)で公開されています。
ライセンスはApache-2.0という、商用利用もできる自由なものです。
注目度はとても高く、GitHubでの「スター」(お気に入り登録のようなもの)はすでに1万8900件を超えています。
2026年5月16日には、テックメディアのGIGAZINEがこのツールを実際に試したレビュー記事を公開しました。これをきっかけに日本でも注目が集まっています。
一番の特徴は、すべての処理が自分のパソコンの中だけで完結する点です。
クラウド(インターネット上のサーバー)に本のデータを送る必要がありません。だから、人に見られたくない原稿や社内資料でも安心して使えます。
何がすごいのか|1158言語・ボイスクローン・章の自動検出
ebook2audiobookには、無料とは思えない機能がそろっています。
まず、対応言語が1158言語ととても多いです。もちろん日本語も含まれます。
次に「ボイスクローン」という機能があります。これは、自分や好きな人の声を学習させて、その声で本を読み上げさせる機能です。
音声化に使う「TTSエンジン」(文章を音声に変える仕組み)の1つ「XTTSv2」では、30秒ほどの音声サンプルがあれば声を再現できます。
きれいな録音を用意すれば、元の声と90%以上似た声が作れると言われています。
対応する電子書籍のフォーマットも豊富です。epub、mobi、PDF、Word(docx)、テキストなど20種類以上に対応します。
しかも、本の「章(チャプター)」を自動で見つけて分けてくれます。聴きたい章にすぐ飛べるので便利です。
画像になっている文字を読み取るOCR機能もあります。スキャンしたPDFでも音声にできます。
そのほか、字幕ファイル(VTT形式)の生成や、間(ま)や声の切り替えを細かく指定する機能もそろっています。
使い方|3つの起動方法から選べる
ebook2audiobookには起動方法が複数あります。自分のレベルに合わせて選べるのが親切なところです。
初心者向け|画面で操作するWeb UI
一番かんたんなのは、画面付きの操作画面(Web UI)を使う方法です。
WindowsならファイルをダブルクリックするだけでOKです。MacやLinuxではコマンドを1つ実行します。
起動すると、ブラウザで操作画面が開きます(通常は http://localhost:7860/)。
あとは次の手順を進めるだけです。
- 電子書籍ファイルをドラッグ&ドロップする
- 言語(日本語など)を選ぶ
- 読み上げる声を選ぶ(サンプルの試し聴きもできます)
- CPUかGPUかを選ぶ
- 出力する音声フォーマットを選ぶ
- 変換ボタンを押す
これだけで音声ファイルができあがります。
環境を汚したくない人向け|Docker
Docker(アプリを箱の中で動かす仕組み)にも対応しています。
次のようなコマンド1つで起動できます。パソコンの環境を汚さずに試せるのが利点です。
docker run -v "./ebooks:/app/ebooks" -v "./audiobooks:/app/audiobooks" -p 7860:7860 athomasson2/ebook2audiobook:cpu
まとめて処理したい人向け|コマンド(ヘッドレス)
画面を使わず、コマンドだけで動かす「ヘッドレスモード」もあります。
たくさんの本を一度に変換したいときに便利です。
./ebook2audiobook.command --headless --ebook 本のパス --voice 音声のパス --language jpn
日本語の言語コードは「jpn」です(ISO-639-3という国際規格の形式)。
動かすのに必要なパソコンのスペックは?
「高性能なパソコンが必要では?」と心配になるかもしれません。
でも、必要なスペックは意外と低めです。
- メモリ(RAM):最低2GB、推奨8GB
- グラフィックメモリ(VRAM):最低1GB、推奨4GB
- 対応OS:Windows、macOS、Linux
GPU(画像処理用の高速な部品)がなくても、CPUだけで動きます。
ただし、CPUだけだと処理は遅くなります。GIGAZINEのレビューでは、ある電子書籍の変換に30分弱かかったと報告されています。
時間はかかりますが、寝ている間や外出中に変換しておけば気になりません。
実際の日本語の品質はどう?GIGAZINEレビューより
気になるのは「日本語が自然に読み上げられるのか」という点です。
GIGAZINEのレビューによると、結論は「十分聞き取れるレベル」とのことです。
良かった点は、全体的に音声が自然だったことです。
一方で、いくつか弱点も報告されています。
- 文章を細かく区切って音声にするため、文のつなぎ目でアクセントがやや不自然になる
- 外来語の誤読(「メイド」が「マデ」と読まれた)
- アラビア数字の読み方が奇妙で、聞き取れないことがある
つまり、プロのナレーターと同じ品質ではありません。
それでも、内容を耳で把握する用途なら十分使えるレベルです。無料でここまでできるのは大きな価値だと言えます。
Audibleや他サービスと何が違う?
「オーディオブックならAudibleがあるのでは?」と思う方もいるでしょう。
ここが重要なポイントです。Audibleやaudiobook.jpは、出版社が音源化したプロのオーディオブックを聴くサービスです。
月額1500円ほどで聴き放題になりますが、聴けるのは配信されている作品だけです。
一方、ebook2audiobookは「自分が持っている電子書籍を音声化する」ツールです。性質がまったく違います。
ほかの選択肢とも比べてみましょう。
- Audible / audiobook.jp:プロの朗読で高品質。ただし対象は配信作品のみで、月額料金がかかる
- クラウドTTS(ElevenLabsなど):高品質だが従量課金で、データをクラウドに送る必要がある
- abogenなど他のOSS:似た無料ツールはあるが、ebook2audiobookは対応言語数とボイスクローンが強み
- ebook2audiobook:完全無料・ローカル完結・1158言語・自分の本を音声化できる
「手元の本やPDFを、無料で、外に出さずに音声化したい」という人には、ebook2audiobookがぴったりです。
日本のユーザーにとって何が嬉しい?
日本のユーザーにとって、このツールには具体的なメリットがあります。
たとえば、ある会社員を想像してみてください。資格試験のために分厚い技術書のPDFを買いました。でも机に向かう時間がありません。
ebook2audiobookでその本を音声化すれば、通勤電車や散歩中に「耳で勉強」できます。
別の例もあります。青空文庫の小説や、自分が書いた同人小説のepubファイル。これらはAudibleにはありません。でも、このツールなら音声化できます。
さらに、目が見えにくい方や、ディスレクシア(文字を読むのが苦手な特性)の方の読書支援にも役立ちます。
語学学習にも使えます。1158言語に対応しているので、外国語の本を音声で耳に慣らせます。
注意点もあります。著作権を守るため、DRM保護のない、合法的に手に入れた電子書籍だけに使ってください。市販の電子書籍の多くにはコピー防止(DRM)がかかっています。
日本語の品質はまだ完璧ではありませんが、オープンソースなので今後の改善も期待できます。
よくある質問(FAQ)
Q. 本当に無料ですか?
はい、完全に無料です。オープンソースソフトなので、利用料も会員登録も必要ありません。
Q. インターネットに接続していなくても使えますか?
基本的な処理は自分のパソコンの中で完結します。最初のソフトやモデルのダウンロードには接続が必要ですが、その後はオフラインでも動かせます。
Q. 市販の電子書籍(Kindleなど)を音声にできますか?
DRM(コピー防止)がかかった電子書籍は対象外です。開発元も、合法的に入手したDRMなしのファイルだけを使うよう明記しています。
Q. プログラミングの知識がないと使えませんか?
画面付きのWeb UIを使えば、ファイルをドラッグ&ドロップして選ぶだけです。専門知識がなくても始められます。
Q. 日本語の読み上げは自然ですか?
全体的には自然ですが、文のつなぎ目や数字、外来語で不自然になることがあります。内容を耳で把握する用途なら十分実用的です。
まとめ
最後に要点を振り返ります。
- ebook2audiobookは電子書籍を音声化する無料のオープンソースソフト
- 日本語を含む1158言語に対応し、処理はすべて自分のパソコン内で完結する
- ボイスクローンや章の自動検出など、無料とは思えない機能がそろう
- 日本語の品質は完璧ではないが「十分聞き取れるレベル」
- Audibleなどと違い「自分が持っている本」を音声化できるのが最大の強み
まずはGitHubのページを開き、手元のepubやPDFで試してみることをおすすめします。
参考文献
- GIGAZINE「電子書籍を日本語など1000以上の言語で音声読み上げファイルに変換できる『ebook2audiobook』レビュー」 https://gigazine.net/news/20260516-ebook2audiobook/
- ebook2audiobook GitHubリポジトリ(DrewThomasson) https://github.com/DrewThomasson/ebook2audiobook
- DeepWiki「Voice Cloning and Extraction|DrewThomasson/ebook2audiobook」 https://deepwiki.com/DrewThomasson/ebook2audiobook/4.1-voice-cloning-and-extraction
- audiobook.jp 公式サイト https://audiobook.jp/
- Amazon Audible 公式サイト https://www.audible.com/


