- Claude Coworkの「このコンピュータのみ」オプションが10月6日に廃止された
- Pro・Maxプランでは、AIの推論もVM(仮想マシン)もクラウドで動く
- セッションごとに専用のサンドボックスができ、終了すると破棄される
- ノートPCを閉じても作業が止まらない一方、ローカルのファイルには手動設定が必要
- 背景には7月に公表された脆弱性「SharedRoot」がある
「ノートPCを閉じたら、Coworkの作業が止まっていた」という経験はありませんか?10月6日から、Claude Coworkはすべてクラウドで動く仕組みに変わりました。何が変わり、何に気をつければいいのかを整理します。
Claude Coworkの「ローカル実行」が廃止された
ITmediaの報道によると、Claude Coworkから「このコンピュータのみ」オプションが削除されました。
このオプションは、自分のPCの中でVM(パソコンの中に作る仮想のパソコン)を動かす設定でした。
対象はProとMaxの既存ユーザーです。10月6日(現地時間)以降に始めるタスクは、すべてクラウドで実行されます。
ただし、同日までに始まっていたタスクは、開始時の設定のまま最後まで実行されます。突然止まる心配はありません。
何がクラウドに移ったのか
モデル推論もVMもクラウドで動く
これまでのローカル実行では、AIの頭脳にあたるモデル推論はクラウド側、作業用のVMは手元のPC側、という分け方でした。
これからはモデル推論もVMもAnthropicのサーバーで動きます。手元のPCは操作画面を表示するだけです。
セッションごとに専用の「砂場」ができる
Anthropicの開発者は、各セッションに独自のサンドボックス(外から隔離された作業スペース)が割り当てられると説明しています。
他のセッションとは状態を共有せず、セッションが終わると破棄されます。使い捨ての作業机を毎回用意するイメージです。
ローカル実行をやめた理由
ITmediaによると、ローカルの設定はもともと「機能、安全性、セキュリティのために」用意されたものでした。
ところが、2つの問題がありました。1つは、マシンへの負荷が大きいこと。もう1つは、ノートPCがスリープすると作業が止まることです。
クラウド実行なら、この2つがなくなります。さらに、別のデバイスに作業を引き継げるようになります。
たとえば、会社のPCで頼んだ資料作りを、帰りの電車でスマホから確認し、追加の指示まで出せます。
背景にある脆弱性「SharedRoot」
安全面の事情もあります。7月には、ローカル版Coworkに関する脆弱性が報告されました。
報道サイトのwwwhatsnewによると、Accomplish AIが7月26日に発見し、「SharedRoot」(CVE-2026-46331)と名づけました。深刻度は10点中およそ8点です。
VMの中でLinuxカーネルの欠陥を突くと、管理者権限(root)を奪えます。これにより、VMと共有されているMac側のファイルに触れられるようになります。
SSHキーやクラウドの認証情報、ソースコードなどが危険にさらされるおそれがあります。影響を受けるのは、ローカルでCoworkを使うmacOSユーザーおよそ50万人とされています。
同記事によると、Anthropicはこの報告を「参考情報(informational)」として閉じました。理由は、新しいバージョンのCoworkが初期設定でクラウド実行になるから、というものです。
今回の廃止で、ローカルVMを経由する攻撃は成り立たなくなるとみられます。ただしAnthropicが廃止の理由として脆弱性を挙げたわけではありません。
クラウド実行で変わること・変わらないこと
Anthropicの公式ヘルプには、クラウドで使うときの注意点がまとまっています。
変わらないこと
- 連携済みのコネクタは、セッションやデバイスをまたいで使える
- タスクを説明し、方針を確認し、途中で指示を出す流れは同じ
- Pro・Max・Team・Enterpriseの有料プランで、デスクトップ・Web・モバイルから使える
変わること
- 最終成果物のファイルは残るが、Claudeが返さなかった作業用ファイルはセッション後に残らない
- セッションの途中でローカルとクラウドを切り替えられない
- 過去のクラウドセッションはタイトルだけで検索する(全文検索はできない)
- 大きなファイルや大量のファイルは、処理が遅くなることがある
- クラウドで作った定期タスクは、ローカルフォルダやローカルのコネクタを使えない
なお、クラウドのタスクはClaudeの記憶(過去の会話の内容)を参照できます。ローカル実行のセッションは、この記憶機能を使いません。
自分のPCのファイルを使うには
「会社のPCにある見積書をもとに資料を作ってほしい」と思うことはよくあります。クラウド実行では、この場合に一手間かかります。
ITmediaによると、手元のデバイスが必要なときにアクセスできるのは、デスクトップアプリで明示的に追加したフォルダだけです。
公式ヘルプでも、フォルダは手動で添付すると書かれています。PC上のファイルやツールに触れるには、Claudeのデスクトップアプリを開いて接続しておく必要があります。
ローカルのMCPサーバー、ブラウザ操作、コンピュータ操作も同じです。アプリを閉じたままでは使えません。
たとえば、経理担当の人が月末に請求書フォルダを読ませるなら、アプリを開いてそのフォルダを追加してから依頼します。逆に、ネット上の資料だけで済む調べものなら、PCを閉じても任せておけます。
他社サービスとの比較と、日本の利用者への影響
AIに仕事をまるごと任せる流れは、Claudeだけではありません。OpenAIも「ChatGPT Work」を出しており、Microsoft 365 CopilotやGoogleのWorkspace向けGeminiも競合にあげられています。
各社に共通するのは、クラウドで動かして、PC・スマホ・Webのどこからでも続きを頼めるという方向です。
Coworkのモバイル・Web版は、itechifyによると7月にMaxユーザーから順次提供が始まりました。ローカル実行の廃止は、その流れの延長にあります。
日本の利用者に関わるのは、社内ルールです。ファイルがクラウドのサンドボックスに渡るため、機密資料を扱う会社では、何を渡してよいかをあらためて決める必要があります。
日本語の公式ヘルプも用意されているようです。管理者は、自社のプランと設定を一度確認しておくと安心です。
よくある質問(FAQ)
Q1. いつからローカル実行は使えませんか?
10月6日(現地時間)からです。それ以前に始めたタスクは、開始時の設定のまま完了まで動きます。
Q2. 対象のプランは?
ITmediaの報道では、ProとMaxのユーザーが対象です。クラウド実行そのものは、公式ヘルプによるとTeamとEnterpriseでも使えます。
Q3. PCを閉じても作業は続きますか?
クラウド上で動く作業は続きます。ただし、PC上のファイルやブラウザ操作が必要な作業は、デスクトップアプリが開いていないと進みません。
Q4. 作業中のファイルは残りますか?
最終成果物は残ります。Claudeが返さなかった作業用ファイルは、セッション後に残りません。サンドボックス自体も、終了時に破棄されます。
Q5. 途中でローカルに切り替えられますか?
できません。セッションは始めたときのまま続きます。やり直すなら、新しいセッションを始めます。
まとめ
- 10月6日からCoworkの「このコンピュータのみ」は廃止され、推論もVMもクラウドで動く
- セッションごとに隔離されたサンドボックスが作られ、終了時に破棄される
- PCの負荷やスリープによる停止がなくなり、デバイス間の引き継ぎができる
- PCのファイルを使うには、デスクトップアプリでフォルダを追加する
- 機密資料の扱いは、社内ルールを見直しておく
まずは、普段Coworkに渡しているファイルを洗い出して、クラウドに渡してよいものかどうかを確認してみましょう。
