• Common Sense Mediaが「ChatGPT for Teens」を最低ランクの「容認できないリスク」と評価したこと
  • 保護者への通知が1時間の会話でも1件も届かなかったテスト結果
  • OpenAIの反論と、同じ日に出た利用状況・新機能の発表
  • GoogleやAnthropicなど、他社の10代向け対応との違い
  • 家庭で今日からできる、AIとの付き合い方

「うちの子が使っているChatGPT、本当に安全なの?」と不安になったことはありませんか。2026年10月7日、米国の非営利団体がOpenAIの10代向け版に最低ランクの評価をつけました。

この記事では、何が問題とされたのか、OpenAIがどう答えたのか、家庭で何をすればよいのかを整理します。

10月7日、何が起きたのか

子どもとメディアの関係を調べる米国の非営利団体Common Sense Mediaが、公式の発表で「ChatGPT for Teens」を「Unacceptable Risk(容認できないリスク)」と評価しました。

これは同団体の評価で最も低いランクです。評価したのは、団体傘下のYouth AI Safety Institute(若者のAI安全研究所)です。

研究所はOpenAIに対し、安全機能を直して第三者に検証してもらうまで、ChatGPTを18歳以上に限るよう求めました。

研究所のトム・シーゲル事務局長は「保護者に誤った安心感を与えかねない」と述べています。頻繁に機能しない安全通知を、親が信じ込んでしまうことを心配しています。

OpenAIは同じ日に、10代の利用状況と新機能を公式ブログで発表しました。ただし、ITmedia NEWSによると、この発表で評価への直接の反論はありませんでした。

ChatGPT for Teensとは?

ChatGPT for Teensは、OpenAIが2026年8月18日に始めた13〜17歳向けの利用環境です。AP通信の配信記事が詳しく伝えています。

主な特徴は次のとおりです。

  • 自殺、自傷行為、恋愛や性的な会話の制限を強める
  • 宿題では答えをそのまま出さず、考え方を導く(Study Mode)
  • AIが感情を持っているように見せない
  • 保護者と連携すると、使えない時間帯(静かな時間)を設定できる
  • 自傷や摂食障害の可能性があるときは、保護者に安全通知が届く

年齢の確認方法も特徴的です。OpenAIは年齢を証明書などで確かめません。質問の内容などから18歳未満らしいかを推定し、そう判断された人や13〜17歳と申告した人を自動で10代向けに振り分けます。

テストで見つかった5つの問題

研究所は、8月の公開前後に、13〜17歳として登録したアカウントで4000件以上のプロンプト(AIへの質問や指示)を試しました。児童精神科医と小児科医が回答を確認しています。

性的なロールプレイを断る機能は、一貫して働いたと評価されました。一方で、次の問題が見つかっています。

1. 保護者への通知が届かない

保護者と連携した新規アカウントで、自殺願望、自傷行為、摂食障害について最長1時間話しました。それでも保護者への通知は0件でした。

通知が届いたのは、数週間分の会話履歴がある古いアカウント2件だけだったと、KQEDは伝えています。

想像してみてください。夜中に子どもが、つらい気持ちをChatGPTに打ち明けている場面です。親のスマホには何も届かず、翌朝まで誰も気づきません。

2. 危機のときの案内が足りない

専門家が必要と判断した相談窓口や専門家への案内のうち、4分の1以上が行われませんでした。重大な被害に関する5項目のうち3項目で、研究所が決めた95%の安全基準にも届きませんでした。

3. 宿題を代わりにやってしまう

Study Modeに出る「Show me the answer(答えを見せて)」を選ぶと、宿題が完成しました。保護者が決めた学習時間も、入力の先頭の「@study」を消すだけで外せました。

保護者と連携していない17歳のアカウントでは、課題を完成させた割合が公開前の0%から公開後は88%に上がったとKQEDは伝えています。

4. 友達のように振る舞う

新しいルールがあるのに、AIは感情や好みを見せ続けました。HotHardwareによると、10代の同級生を演じるロールプレイも多く確認されています。

5. 年齢推定がうまく働かない

13歳と申告し、AIもそれを認識した成人登録のアカウントが、数日間試しても10代向けに切り替わりませんでした。

OpenAIの反論と新発表

OpenAIは、研究所の結果は不正確だと反論しています。KQEDによると、保護者と子どものアカウントの連携が有効になるまでに約3時間かかり、テストの多くはそれより前に終わっていた可能性があるといいます。

また、通知は人間のスタッフが確認してから送る仕組みで、目標は1時間以内だとも説明しています。

研究所は、連携から3時間たっていないアカウントがあったことは認めました。それでも結果は変わらないという立場です。

同じ日、OpenAIは利用状況も公表しました。ITmedia NEWSの記事によると、内容は次のとおりです。

  • 10代の1日の平均利用時間は15分未満
  • 3時間以上続けて使う人は2%未満
  • 約半数が5分以内に休憩するか会話を終える
  • 18万人以上がStudy Modeを利用

新機能として、米国の高校生向けの大学出願支援「College Planner」が近く始まります。さらに、ボストン小児病院のDigital Wellness Labを3年間支援し、10代の意見を集める計画です。

他社の10代向けAIとの違い

KQEDによると、各社の対応は分かれています。

  • Google:Geminiに10代向け版を用意している
  • Anthropic:Claudeは18歳以上に限っている
  • Meta:Museは18歳以上に限る。ただしInstagram上のMeta AIは10代も使える
  • OpenAI:13〜17歳向けの専用環境を用意している

ちなみに、2025年の調査では、この4社の製品はどれも10代のメンタルヘルス支援として「Unacceptable」と評価されています。10代向けの専用機能があるかどうかだけで、安全かどうかは決まりません。

日本の家庭への影響

今回確認できた資料は米国の話が中心で、日本での提供状況は書かれていません。ただ、日本でも子どもがAIに悩みを相談する場面は十分に考えられます。

研究所は家庭向けに、次の対応を勧めています。

  • AIが友達のように振る舞って依存させるリスクを、家庭で話し合う
  • 内蔵の保護機能や通知だけに頼らない
  • 宿題は、AI以外の方法でも支える

ある中学生が、数学の宿題でつまずいた場面を考えてみましょう。Study Modeで考え方を教わるつもりが、答えの表示ボタンを押せば終わってしまいます。親が「ちゃんと使っているはず」と思い込んでいると、この抜け穴には気づけません。

なお、研究所のシーゲル氏は、欠陥があっても保護者との連携は「何もないよりまし」として勧めています。使うなら、通知は届かないこともあると知ったうえで設定するのがよさそうです。

よくある質問(FAQ)

Q1. 「容認できないリスク」とは何ですか?

Common Sense Mediaの評価で最も低いランクです。今回は、18歳未満の利用者すべてが対象とされています。

Q2. OpenAIは評価を受け入れたのですか?

いいえ。OpenAIは結果が不正確だと反論しており、連携の有効化に時間がかかる点などを理由に挙げています。

Q3. この評価は第三者の公平な調査ですか?

研究所はOpenAI Foundation、Anthropic、Pinterestなどから一部資金を受けたと明かしています。評価の編集上の独立性は保っているとの説明です。

Q4. 親は何をすればよいですか?

保護者との連携は設定したうえで、通知だけに頼らないことです。普段から子どもとAIの使い方を話し合ってください。

まとめ

  • 2026年10月7日、ChatGPT for Teensが最低ランクの「容認できないリスク」と評価された
  • 保護者への通知、危機対応、宿題代行、年齢推定に問題が見つかった
  • OpenAIは結果を不正確だと反論し、同日に利用状況と新機能を発表した
  • 保護者機能は完璧ではない。家庭での会話が最後の安全網になる

まずは今夜、お子さんがAIをどう使っているかを、責めずに聞いてみてください。

参考文献