- 2026年9月1日、Appleの新CEOにジョン・ターナス氏が就任。ティム・クック氏は会長へ
- CEO交代は2011年以来15年ぶり。発表当日、株価は2.52%下落し時価総額4兆ドルを一時割り込んだ
- 最初の大舞台は9月9日のイベント。折りたたみiPhoneと生成AI版Siriが目玉と見られる
- 新Siriの頭脳はGoogleのGemini。年間約10億ドル(約1500億円)を支払う契約と報じられている
- 日本語対応の時期は未定。日本のiPhoneユーザーは「英語から順次」を待つ形になる
スマホのトップメーカーが、AI競争では追う側にいる。そんな逆転現象のまま、Appleは15年ぶりに社長交代の日を迎えました。新CEOは9日後に控えたイベントで、いきなり答えを見せなければいけません。何が変わり、日本のユーザーには何が届くのかを整理します。
15年ぶりのトップ交代が、ついに実行された
2026年9月1日、Appleの最高経営責任者(CEO)がジョン・ターナス氏に交代しました。
前任のティム・クック氏は退任し、エグゼクティブチェアマン(会長)に就きます。会社を去るわけではありません。
Appleのトップが替わるのは、スティーブ・ジョブズ氏が退いた2011年以来、15年ぶりです。
人事そのものは2026年4月20日に発表済みでした。つまり今回は「予告どおりの実行日」です。
クック氏は何を担当し続けるのか
会長としてのクック氏は、各国の政策担当者との関係づくりを引き継ぐと報じられています。
米政権や中国政府との折衝は、Appleにとって業績を左右する重要業務です。
製品と技術の判断は新CEOへ、政治と外交はクック氏へ。役割を二分した形と言えます。
市場の反応は冷静ではありませんでした。4月の発表当日、AAPL株は2.52%下落し、時価総額は4兆ドルの大台を一時割り込みました。
その後は持ち直し、8月31日時点の時価総額は約4.67兆ドル規模とされています。
ジョン・ターナスとは何者か
ターナス氏は51歳。ペンシルベニア大学で機械工学を学び、在学中は水泳部の主力選手でした。
Appleへの入社は2001年、プロダクトデザインチームからのスタートです。在籍25年の生え抜きにあたります。
2013年にハードウェアエンジニアリングの担当役員となり、2021年1月から上級副社長として全ハードウェアを統括してきました。
担当領域はiPhone、iPad、Mac、Apple Watch、AirPods、Apple Vision Proまで及びます。
初代iPadやAirPodsの立ち上げにも関わった人物です。「ものを作る側」から昇格した技術者CEOという点が、経営・供給網出身のクック氏との最大の違いになります。
CNBCのインタビューでは、入社当初は「自分がここにいていいのか分からなかった」と語っています。派手さより実装で語るタイプ、という評価が定着しています。
最初の試練は9月9日のイベント
就任からわずか8日後、ターナス氏はCEOとして初めて基調講演の舞台に立ちます。
Appleは9月9日午前10時(米太平洋時間)、クパチーノの本社でイベントを開くと告知しました。テーマは「Surprise and shine」です。
日本時間では9月10日の午前2時にあたります。夜更かし組にはおなじみの時間帯です。
目玉として名前が挙がっているのは次の3つです。
- 折りたたみiPhone(iPhone Ultraと呼ばれる可能性が報じられています)
- iPhone 18 Pro / iPhone 18 Pro Max
- 新型Apple Watchと、大規模言語モデルで作り直した新しいSiri
ハードウェアの目玉は折りたたみです。ただし投資家と開発者が見ているのは、間違いなくSiriのほうです。
ハードの責任者だった人がCEOになった最初の発表で、問われるのがソフトとAI。皮肉な巡り合わせですが、そこが評価の分かれ目になります。
なぜAppleはAIで出遅れたのか
Appleは2024年に「新しいSiri」を予告しながら、実際の提供を延期し続けました。
開発中に不具合が続き、2025年3月の社内会議では幹部が状況を「ugly(ひどい)」と表現したと報じられています。
その後、AI部門の人事は入れ替わりました。そして下された判断が、Siriの土台を自社モデルからGoogleのGeminiに載せ替えることです。
年間10億ドルでGoogleの頭脳を借りる
Bloombergは2025年11月、Appleが1.2兆パラメータのカスタムGeminiモデルを使うため、年間約10億ドル(約1500億円)を支払う方向だと報じました。
パラメータとは、AIの賢さのおおまかな規模を示す数字です。数が多いほど複雑な指示をこなしやすくなります。
両社は2026年1月12日に提携を正式発表しました。GoogleのGeminiが、新Siriと次世代Apple Intelligenceの基盤になります。
Deepwater Asset Managementのジーン・マンスター氏は、Google側から見た契約総額を50億ドル規模と試算しています。
自社で間に合わないなら外から買う。垂直統合を看板にしてきたAppleにとっては、大きな方針転換です。
6月のWWDC 2026では、そのGemini版Siriがすでに披露されました。iOS 27の公開に合わせ、まず英語圏で段階的に開放される見通しです。
ライバルと何が違うのか
同じ「スマホの音声AI」でも、各社の立ち位置はかなり違います。
- Google(Pixel):モデルもOSも端末も自前。Geminiを最速で自社製品に載せられる立場です
- Samsung(Galaxy AI):Googleのモデルを積極的に採用し、翻訳や通話要約で先行しました
- Microsoft:スマホではなくWindowsとOfficeの業務画面からAIを広げる戦略です
- Apple:端末とチップは世界最強クラス。頭脳だけを他社から借りる構図になりました
Appleの強みは、端末の中で処理を完結させやすいことです。個人データを外に出さない設計は、プライバシー重視の層に響きます。
弱みは主導権です。中核となるモデルの進化ペースを、自社だけでは決められません。
高価格帯スマホでAppleのシェアは2026年上半期に65%とされ、依然として首位です。ただし2022年上半期の74%からは9ポイント下がっています。
「機械としては最良、賢さでは二番手」という状態をどこまで許容できるか。ターナス体制の評価軸はここに集中します。
日本のユーザーと企業への影響
日本は世界でも特にiPhone比率が高い市場です。調査によって幅はありますが、主要な統計ではおおむね5〜6割がiPhoneとされてきました。
一方でMMD研究所の2025年9月調査では、メイン端末の利用率でAndroidがiPhoneを上回る結果も出ています。安泰ではありません。
気になるのは日本語対応です。Appleは新Siriを「まず英語から」と説明しており、日本語の提供時期は正式に決まっていません。
一部では2026年11〜12月という見方も出ていますが、あくまで観測です。9月のiOS 27公開時点で日本語がすぐ使えるとは限りません。
実際の生活はどう変わるのか
都内の営業担当者を想像してみてください。移動中に「先週の議事録から、締め日が今月末の案件だけ抜き出して」と話しかける。今のSiriには荷が重い依頼です。
新Siriは複数の手順を分解して実行する設計だと説明されています。メモとカレンダーを横断して答えを返す動きが現実味を帯びます。
もうひとつ、地方の小さな工務店の事務担当を考えます。写真アプリに溜まった現場写真から、先月分だけを取り出して見積書に貼る作業は地味に重労働です。
端末内の情報を理解できるアシスタントなら、この手の「探して並べる」仕事を丸ごと引き取れます。
3つ目は家庭です。高齢の親がスマホの設定でつまずいたとき、電話越しに手順を説明するのは骨が折れます。画面の状況を理解して案内できるAIは、家族の負担をそのまま減らします。
企業の情報システム担当にとっては、別の論点もあります。社員のiPhoneでSiriがGoogleのモデルを使うなら、データの流れを説明できる状態にしておく必要があるためです。
Appleは端末内処理とPrivate Cloud Computeを組み合わせる方針を示しています。社内規程の見直しは、日本語対応が来る前に始めておくと慌てずに済みます。
よくある質問(FAQ)
Q1. ティム・クック氏はAppleを辞めたのですか?
いいえ。CEOは退きましたが、エグゼクティブチェアマン(会長)として残ります。各国政府との関係づくりなどを担当すると報じられています。
Q2. 新しいSiriは今のiPhoneでも使えますか?
Apple Intelligenceに対応した比較的新しい機種が前提になります。まず英語圏で段階的に開放される見通しで、対応機種の詳細は9月9日のイベントで示される可能性が高いです。
Q3. SiriがGoogle製になると、会話の内容はGoogleに渡るのですか?
Appleは、モデルを自社の環境で動かし、端末内処理と専用クラウドを組み合わせる設計を説明しています。とはいえ具体的な線引きは公開情報が限られるため、業務利用では自社基準での確認が必要です。
Q4. 日本語ではいつから使えますか?
正式な発表はありません。2026年内という見方が複数ありますが、確定情報ではないため、公式アナウンスを待つのが確実です。
Q5. CEO交代でiPhoneの値段は変わりますか?
交代を理由にした値上げは発表されていません。ただし部材価格や為替の影響は別問題で、価格は9月9日のイベントで明らかになります。
まとめ
- 2026年9月1日、Appleの新CEOにジョン・ターナス氏が就任。クック氏は会長として残る
- 15年ぶりの交代で、発表当日は株価が2.52%下落。市場は「AI立て直し」を注視している
- 初仕事は9月9日のイベント。折りたたみiPhoneとLLM版Siriが焦点になる
- 新SiriはGoogleのGemini(1.2兆パラメータ)が土台。年間約10億ドル規模の契約と報じられている
- 日本語対応は未定。英語圏からの段階提供が濃厚で、日本のユーザーは続報待ちになる
まずは9月9日(日本時間10日午前2時)の発表内容を確認し、自分のiPhoneが新Siriの対応機種に入るかどうかをチェックしておきましょう。
参考文献
- Apple Newsroom「Tim Cook to become Apple Executive Chairman, John Ternus to become Apple CEO」
- MacRumors「Apple Event Announced for September 9: ‘Surprise and Shine’」
- CNBC「Apple incoming CEO John Ternus faces a defining challenge: Fixing the company’s AI strategy」
- Bloomberg「Apple Nears $1 Billion-a-Year Deal to Use Google AI for Siri」
- 9to5Mac「Today is Tim Cook’s last day as Apple CEO, Ternus takes over」
