- ChatGPTの対抗馬「Claude(クロード)」を作るAnthropicが、株式上場(IPO)を秘密申請しました
- 会社の値段(評価額)は約9650億ドル、日本円でおよそ145兆円という史上最大級の規模です
- 1年前は売上10億ドルだったのに、いまは年換算で470億ドル(約7兆円)まで急成長しています
- ライバルのOpenAIも1週間後に追いかけて申請し、AI企業の「上場レース」が始まりました
- 日本の企業や私たちの生活にも、AIサービスの値段や信頼性を通じて関わってきます
「AIの会社って、いったいいくらの価値があるの?」と思ったことはありませんか。その答えがついに数字で示されようとしています。Claudeを作るAnthropicが、約145兆円という途方もない評価額で株式上場を申請しました。この記事を読むと、何が起きたのか、なぜそんな高値がつくのか、そして私たちにどう関係するのかがわかります。
Anthropicが「秘密申請」したIPOとは何か
2026年6月1日、AnthropicはアメリカのSEC(証券取引委員会、株のルールを管理する役所)に上場の書類を提出しました。
この提出は「秘密申請(コンフィデンシャル・ファイリング)」という方法で行われました。
秘密申請とは、上場の準備を始めても、その内容を一般にはすぐ公開しなくてよい仕組みです。
つまり会社は、正式な値段や売上の細かい数字を世間に出す前に、こっそり準備を進められます。
IPO(新規株式公開)とは、それまで一部の投資家だけが持っていた会社の株を、誰でも証券取引所で売り買いできるようにすることです。
Anthropicは早ければ2026年10月にも、ナスダックかニューヨーク証券取引所に上場する可能性があると報じられています。
これが実現すれば、私たち一般の人でもAnthropicの株を買えるようになります。
評価額145兆円の中身——なぜここまで高いのか
今回いちばん驚かれているのが、会社の値段です。
Anthropicの評価額は約9650億ドル、日本円でおよそ145兆円に達しました。
これは、これまで最も価値が高いとされてきたOpenAIを抜く数字です。
1年で売上が大きく伸びた
なぜここまで高い値段がつくのでしょうか。理由は、ものすごいスピードで売上が伸びているからです。
Anthropicの売上は、年換算で470億ドル(約7兆円)のペースになりました。
これは年初の300億ドルペースから、さらに増えた数字です。1年前はまだ10億ドルでした。
たった1年で、売上の規模が何倍にもふくらんだことになります。
巨額の資金も集めている
2026年5月には、シリーズHと呼ばれる資金調達で650億ドル(約9.8兆円)を集めました。
出資したのはアルティメター・キャピタルやセコイア・キャピタルなど、世界の有名な投資ファンドです。
ただし、評価額145兆円は売上のおよそ20倍にあたります。投資家が「これからもっと伸びる」と強く期待している証拠でもあります。
ライバルOpenAIとの上場レース
Anthropicの申請は、AI業界全体に大きな波を起こしました。
ChatGPTを作るOpenAIが、わずか1週間後の6月8日に追いかけて上場を申請したのです。
OpenAIの狙う評価額は7300億〜8500億ドル(約110兆〜128兆円)と報じられています。
こちらは2026年9月の上場を目指しているとされます。
申請の順番ではAnthropicが先行しましたが、上場のタイミングではOpenAIのほうが早くなる可能性もあります。
ちなみに、調査会社カウンターポイントによると、2026年1〜3月のLLM(文章を作るAI)の売上シェアは、Anthropicが31.4%でOpenAIの29%をわずかに上回りました。
長くOpenAIが「AIの王者」と見られてきましたが、その構図が変わりつつあります。
競合・比較:Anthropic・OpenAI・SpaceX
2026年は「巨大企業の上場ラッシュ」とも言われています。代表的な3社を比べてみましょう。
- Anthropic:Claudeを開発。評価額は約145兆円。売上の伸びが急で、AI企業では最高評価額。後ろ盾はAmazonとGoogle。
- OpenAI:ChatGPTを開発。評価額は約110兆〜128兆円。利用者数では世界最大級。後ろ盾はMicrosoftやSoftBankなど。
- SpaceX:イーロン・マスク氏のロケット会社。AIではないものの、同じく2026年に巨額上場が注目されている。
AnthropicとOpenAIは、どちらもAmazonやGoogleといった大手から巨額の出資を受けています。
両社あわせて、AmazonとGoogleの出資額は700億ドルを超えるとされます。
大きな違いは「方向性」です。OpenAIは幅広い一般ユーザー向けに、Anthropicは企業や開発者向けの安全性を重視する姿勢で知られています。
Anthropicの利用者数は、Claude.ai(チャット画面)だけで月に約1億3400万人にのぼります。
日本のユーザー・企業への影響
「アメリカの株の話でしょ?」と感じるかもしれません。でも日本にも関係があります。
まず、Anthropicは日本にも拠点を持ち、Claudeの日本語対応も進んでいます。
上場で資金が増えれば、日本向けのサービス強化や新機能の追加が加速する可能性があります。
たとえば、ある日本の中小企業がClaudeを使って契約書のチェックを自動化しているとします。
会社が上場して経営が安定すれば、こうした業務ツールが急に使えなくなる心配が減ります。
一方で、注意点もあります。上場した会社は、株主に利益を見せ続ける必要があります。
そのため、将来的に無料プランの縮小や料金の値上げが起きる可能性も指摘されています。
個人で使っている人も、仕事で導入している企業も、料金プランの動きには目を向けておくとよいでしょう。
また、AI企業の評価額が高すぎて「バブルではないか」と心配する声もあります。日本の投資家にとっても、見極めが大切な局面です。
よくある質問(FAQ)
Q1. Anthropicとはどんな会社ですか?
対話型AI「Claude(クロード)」を開発しているアメリカの会社です。元OpenAIのメンバーが2021年に設立し、AIの安全性を重視していることで知られています。
Q2. 「秘密申請」だと中身はわからないのですか?
提出した直後は詳しい数字を公開しなくてよい仕組みです。ただし正式に上場する前には、売上などの情報が公開される決まりになっています。
Q3. 日本からAnthropicの株は買えますか?
上場が完了すれば、海外株を扱う日本の証券会社を通じて買える可能性があります。ただし現時点では上場が確定しておらず、買えるかどうかは未定です。
Q4. AnthropicとOpenAI、どちらが先に上場しますか?
申請はAnthropicが6月1日と先行しました。ただOpenAIは9月の上場を目指しており、タイミングではOpenAIが先になる可能性も残っています。
Q5. 評価額145兆円は本当に妥当なのですか?
売上の約20倍という高い水準です。急成長への期待が大きい一方で、「高すぎる」「バブルではないか」という慎重な見方もあります。
まとめ
今回のポイントを振り返ります。
- AnthropicはClaudeを作るAI企業で、6月1日に株式上場を秘密申請した
- 評価額は約9650億ドル(約145兆円)で、OpenAIを抜く史上最大級の規模
- 売上は1年で10億ドルから年換算470億ドルへと急成長している
- ライバルのOpenAIも1週間後に追随し、AI企業の上場レースが始まった
- 日本でも、サービス強化や料金変更を通じて私たちに影響する可能性がある
まずは普段使っているAIサービスの料金プランや新機能の発表を、いつもより少し気にして追ってみましょう。
参考文献
- Fortune「Anthropic confidentially files for IPO at a $965 billion valuation」(2026年6月1日)
- CNBC「Anthropic confidentially files IPO prospectus with SEC」(2026年6月1日)
- Anthropic 公式「Anthropic raises $65B in Series H funding at $965B valuation」
- TechCrunch「Following Anthropic, OpenAI files confidentially for IPO」(2026年6月8日)
- Yahoo Finance「How giant IPOs from Anthropic and OpenAI will reshape the AI trade」

