• GO・Waymo・日本交通の3社が2027年中に東京で「完全無人」タクシーの商用運行を目指すと発表
  • 少数の車両から始め、段階的に約100台規模まで拡大。配車は「GO」アプリと「Waymo」アプリの両方から
  • 2025年から港区・新宿区など都内7区で走行試験中。今は日本交通の乗務員が同乗している段階
  • Waymoは米国で週50万回以上の有料乗車を提供し、走行距離は3億km超。人間の運転より事故が大幅に少ないと発表
  • 日産×Wayve×Uber、ティアフォーなど国内のライバルとの違いや、乗客・タクシー業界への影響も解説

「運転席に誰もいないタクシー」に乗る日が、東京でも現実になりそうです。2026年9月15日、タクシーアプリのGO、Google系のWaymo(ウェイモ)、東京最大手の日本交通が、2027年中に東京で完全無人の自動運転タクシーを商用化すると発表しました。この記事では、何がどう変わるのか、いつどこで乗れるのか、ライバルとの違いまでやさしく整理します。

何が発表された?3社合意の中身

まず今回の発表のポイントを見ていきましょう。

GO株式会社、米Alphabet(Googleの親会社)傘下のWaymo、日本交通株式会社の3社は、「東京における自動運転タクシーの商用化に向けた戦略的パートナーシップ」に合意しました。

目標は2027年中に、国内初となる「自動運転レベル4」による完全無人の商用タクシー運行を始めることです。

レベル4(特定の条件のもとで、人がまったく運転に関わらない自動運転)は、米国の自動車技術会SAEが定めた区分です。つまり運転席に人がいない状態でお客さんを運ぶ、本物の「無人タクシー」を目指しています。

台数と配車アプリ

最初は少数の車両でスタートし、段階的に約100台規模まで増やす計画です。

配車はタクシーアプリ「GO」と、Waymo自身の「Waymo」アプリの両方から呼べるようになります。

ただし正式な開始時期は、安全性が確認され、必要な許認可が取れてから決まります。「2027年中」はあくまで目標で、確定した日付ではありません。

3社の役割分担

GOは地域のタクシー事業者との連携窓口と全体設計を担い、GOアプリでサービスを提供します。

Waymoは自動運転技術と運用基盤、車両管理システムを提供します。Waymoの共同CEOテケドラ・マワカナ氏は「初日から一般向けの無人サービスになる」と語っています。

日本交通は現場の運行管理、営業所の運営、顧客サポートを受け持ちます。約100年の歴史を持つ東京最大手のタクシー会社が「現場」を支える形です。

Waymoとは?米国で週50万回走る無人タクシー

Waymoは2009年にGoogleの自動運転プロジェクトとして始まり、2016年に独立した会社です。

現在は米国で無人タクシーサービス「Waymo One」を運営しています。有料の乗車回数は週50万回以上で、2026年9月1日にはデンバー、サンディエゴ、タンパの3都市を追加し、14都市で商用サービスを展開しています。

車両は4,000台以上あり、多くは英ジャガーの電気自動車「I-PACE」です。2026年末までに週100万回の乗車を目指すと公言しています。

安全性の実績

Waymoによると、無人走行の累計距離は3億km以上です。地球を7,000周以上した計算になります。

同社は、人間のドライバーと比べてケガを伴う事故が大幅に少ないと発表しています。今回のGOのプレスリリースでは「人間のドライバーと比較して15倍以上安全」という表現も使われました。

ちなみにこの数字はWaymo自身の集計です。第三者による検証は今後も続く見込みなので、「Waymoの主張では」という前提で読むのがよいでしょう。

東京での試験はどこまで進んでいる?

実はWaymoは、すでに東京の街を走っています。

GOとWaymo、日本交通は2024年12月に提携を発表し、2025年4月から東京での走行を開始しました。Waymoにとって米国外で初めての公道走行です。

対象は港区・新宿区・渋谷区・千代田区・中央区・品川区・江東区の都内7区。ジャガーI-PACEの車両を、訓練を受けた日本交通の乗務員が運転しながら、道路のデータを集めてきました。

「左側通行」と「狭い道」への適応

Waymoにとって東京は大きな挑戦です。米国は右側通行ですが、日本は左側通行。さらに都心には一方通行や狭い路地、自転車や歩行者が多い交差点がたくさんあります。

そこで今は、日本交通の乗務員が同乗した状態で自動走行の試験を進めています。人間が横に座って見守りながら、AIの運転を東京仕様に鍛えている段階です。

2025年10月には日本の国土交通大臣がサンフランシスコでWaymoを体験し、2026年3月にはメディア向け説明会も開かれました。今回の発表は、その積み重ねの先にある「商用化宣言」と言えます。

ライバル比較:日産×Wayve×Uber、ティアフォーとの違い

東京の無人タクシー競争は、Waymoだけではありません。主な陣営を整理します。

日産×Wayve×Uber

2026年3月、日産、英スタートアップのWayve、Uberの3社がロボタクシーで協業すると発表しました。

WayveのAIを載せた「日産リーフ」をUberアプリで呼べる形で、2026年後半に東京で試験運行を始める計画です。ただし当初は助手席にシステムを監視する人が同乗します。

Waymo陣営との違いは「車が日本製」であることと、「Uberアプリ」を使うこと。Waymo陣営は英ジャガーの車両で、国内シェアNo.1のGOアプリを使います。

ティアフォー×newmo

国産の自動運転ソフト企業ティアフォーは、お台場や西新宿でロボットタクシーの実証を重ねてきました。2027年には都内全域でのサービス提供を目指し、配車スタートアップnewmoと組んでいます。

強みは、日本の道路に合わせて作られたソフトと、全国23か所以上での実証経験です。

撤退したホンダ×GM Cruise

かつてホンダは米GMのCruiseと組み、2026年初頭にお台場から無人タクシーを始める計画でした。しかしGMが2024年に事業から撤退し、計画は白紙になっています。

こうして見ると、米国で実績を積んだ無人サービスをそのまま持ち込めるのはWaymo陣営だけです。「国内初の完全無人」の看板を取れるかどうかが、2027年の見どころになります。

日本市場への影響:タクシー不足と私たちの移動

なぜ今、東京で無人タクシーが必要とされているのでしょうか。背景には深刻な人手不足があります。

全国のタクシー運転者数は、2009年度の約38万人から2022年度には約22万人へと、4割以上減少しました。男性ドライバーの平均年齢は58〜59歳と言われています。

日本交通の若林泰治社長は今回の発表で「将来的な乗務員不足を補完し、より安全で質の高い移動インフラを次世代へ引き継ぐための極めて重要な挑戦」とコメントしています。

身近な場面はどう変わる?

たとえば、金曜の夜に六本木で終電を逃したときを想像してみてください。今は雨の日ほどタクシーがつかまりません。無人タクシーが100台走れば、深夜でもGOアプリで呼べる確率が上がります。

あるいは、品川の病院に通う高齢の親御さんを送迎する場面。運転手との会話が負担だった人にとって、無人の車内は気楽な空間になるかもしれません。

出張で東京に来たビジネスパーソンにも変化があります。羽田から都心へ向かう際、乗り慣れたWaymoアプリをそのまま使える米国からの訪問客も増えるでしょう。

タクシー会社は「敵」ではなく「主役」

興味深いのは、今回の枠組みでは既存のタクシー会社が運行管理を担う点です。

米国では「無人タクシーはドライバーの仕事を奪う」という反発も起きました。日本ではタクシー会社が主体となることで、業界と共存しながら導入を進める形になっています。

課題と注意点:2027年に本当に乗れる?

期待が高まる一方で、乗り越えるべき壁もあります。

ひとつは許認可です。日本では2023年4月の改正道路交通法で、レベル4の「特定自動運行」が許可制で解禁されました。法律上は可能ですが、都心の複雑な環境で無人運行の許可を得るのは前例のない手続きになります。

もうひとつは安全の実証です。Waymoは米国で豊富な実績を持ちますが、東京の交通環境は別物です。乗務員同乗の試験でどれだけデータを積めるかが鍵になります。

さらに、料金や対象エリアの詳細、日本での車両台数の確保など、未発表の情報も多くあります。「2027年中」の目標が後ろにずれる可能性もあると、頭に入れておきましょう。

よくある質問(FAQ)

Q1. いつから東京でWaymoの無人タクシーに乗れますか?

3社は「2027年中」の商用運行開始を目指しています。ただし安全性の確認と許認可の取得が条件で、正式な日付は決まっていません。

Q2. どのアプリで呼べますか?

タクシーアプリ「GO」と、Waymo自身の「Waymo」アプリの両方から配車できる計画です。日本で普段GOを使っている人は、新しいアプリを入れなくても呼べる見込みです。

Q3. 料金は普通のタクシーと同じですか?

料金はまだ発表されていません。米国のWaymo Oneは配車アプリと同程度の価格帯で運営されていますが、日本での料金体系は許認可の内容にも左右されるため、続報を待つ必要があります。

Q4. どのエリアで走りますか?

現在の試験走行は港区・新宿区・渋谷区・千代田区・中央区・品川区・江東区の7区です。商用サービスも「東京の主要エリア」から始まると発表されていますが、正確な範囲は未定です。

Q5. 本当に運転席に誰もいないのですか?

はい。Waymoの共同CEOは「初日から無人サービスになる」と明言しています。ただし、それまでの試験期間は日本交通の乗務員が同乗して安全を確認します。

まとめ

  • GO・Waymo・日本交通が2027年中に東京で完全無人(レベル4)のタクシー商用化を目指すと発表
  • 少数から始めて約100台規模へ。配車はGOアプリとWaymoアプリの両方
  • 2025年4月から都内7区で走行試験中。今は日本交通の乗務員が同乗
  • Waymoは米国14都市で週50万回以上を運行し、累計3億km超の無人走行実績を持つ
  • 日産×Wayve×Uber、ティアフォー×newmoも東京で競争中。実績ではWaymo陣営がリード
  • 許認可・安全実証・料金など未確定の要素も多く、時期がずれる可能性はある

まだ使っていない人は、いまのうちにGOアプリを入れて、2027年の「無人タクシー初乗り」に備えておきましょう。

参考文献