2026年2月、ゲームプラットフォーム「Roblox(ロブロックス)」が、AIを使ったすごい新機能を発表しました。その名も「4D生成」と「リアルタイムドリーミング」。テキストで「赤いスポーツカーを作って」と入力するだけで、実際に乗って走れる3Dの車が自動で出来上がるのです。この記事では、ゲームの作り方を変えるかもしれないこの新技術を、やさしく解説します。
この記事でわかること
- Robloxの「4D生成」とは何か、従来の3D生成との違い
- テキスト入力だけで動くゲームオブジェクトが作れるしくみ
- 「リアルタイムドリーミング」で世界まるごと自動生成する研究の最新状況
- Googleの「Project Genie」との違い
- 日本のクリエイターや教育現場への影響
Roblox「4D生成」がオープンベータ開始!何がすごい?
2026年2月4日、Robloxは「4D生成」機能のオープンベータ(誰でも試せるテスト版)を開始しました。2025年11月から一部のクリエイター向けに早期アクセスが行われていましたが、ついに全クリエイターに開放されたのです。
これまでのAIによる3D生成は、見た目だけの「置きもの」を作ることしかできませんでした。たとえば「椅子」を生成しても、ただそこにあるだけ。座ることはできません。
ところが4D生成では、「動き」や「機能」まで自動で付いてくるのです。「車を作って」と入力すれば、タイヤが回り、ハンドルが動き、キャラクターが乗り込んで走れる車が生まれます。この「4番目のD」はインタラクティビティ(操作できること)を意味しています。
早期アクセス期間中の実績も驚きです。「Wish Master」というゲーム内で、プレイヤーたちは16万個以上のオブジェクトを4D生成で作りました。さらに、4D生成を使ったプレイヤーは、平均プレイ時間が64%も増加したと報告されています。
そもそもRobloxとは?日本でも人気の理由
Robloxは、世界中で毎日1億人以上が遊んでいるゲームプラットフォームです。ただのゲームではなく、誰でもゲームを作って公開できるのが最大の特徴です。
たとえるなら、YouTubeが「誰でも動画を作って公開できる場所」であるように、Robloxは「誰でもゲームを作って公開できる場所」です。しかも、作ったゲームで収益を得ることもできます。
日本でも人気は急上昇中です。2025年の第3四半期には、日本のユーザー数が前年比125%増と、アジア太平洋地域全体の110%増を上回る成長を見せています。アニメやゲームのIP(キャラクターやブランド)が豊富な日本は、クリエイターの活躍の場として特に注目されています。
トップクリエイターの収益も大きく、上位1,000人のクリエイターは2025年に平均130万ドル(約2億円)を稼いでいます。前年から50%増という成長ぶりです。Roblox全体では、2025年にクリエイターへ15億ドル(約2,280億円)を支払いました。
4D生成のしくみをやさしく解説
4D生成を動かしているのは、Robloxが独自に開発した「Cube(キューブ)」というAIモデルです。2025年3月に発表され、オープンソースとして公開されています。
Cubeの核心技術は「3Dトークナイゼーション」です。むずかしく聞こえますが、しくみはシンプルです。
ChatGPTなどのAIは、文章を「トークン」という小さな単位に分解して理解します。同じように、Cubeは3Dの形を「トークン」に分解して理解するのです。文章を理解するのと同じ方法で、立体的な形も理解できるようになったわけです。
4D生成では、さらに「スキーマ」というルールブックを使います。現在は2種類のスキーマが用意されています。
- Car-5:車を作るためのスキーマ。ボディと4つのタイヤの計5パーツで構成される
- Body-1:単体のオブジェクト(物体)を作るためのスキーマ
たとえばCar-5スキーマでは、AIが車の形を生成した後、「スクリプトリターゲティング」という処理が走ります。これは、生成された形に合わせて自動でプログラムを調整する技術です。パイナップル型の車でもロケット型の車でも、ちゃんとタイヤが回って走れるようになります。
今後は、何千種類ものオブジェクトに対応する「オープン・ボキャブラリー・スキーマ」の開発が進んでいます。将来的には、あらゆるものを4Dで生成できるようになる見込みです。
「リアルタイムドリーミング」で世界がまるごと自動生成
4D生成が「オブジェクト(物)を作る技術」だとすれば、「リアルタイムドリーミング」は「世界そのものを作る技術」です。Robloxが現在研究中の、もっとも野心的なプロジェクトと言われています。
どういうことかというと、テキストや画像を入力するだけで、プレイ可能な3Dワールドがリアルタイムで生成されるのです。「中世のお城がある街」と入力すれば、お城や石畳の道、NPCが歩く街並みが目の前に広がる――そんな未来を目指しています。
現在の開発状況はこうです。
- 解像度:832×480ピクセル
- フレームレート:16fps(1秒間に16コマ)
- 学習データ:Roblox独自の3Dアバター・ワールドデータを活用
RobloxのCEO、David Baszucki(デイビッド・バシュッキ)氏は、キーボード操作とテキスト入力だけで新しいワールドを作れるようになると説明しています。
ただし、Robloxのプロダクト担当シニアディレクターのKarun Channa氏は、この機能はまだ「研究段階」であり、一般公開の時期は未定だと述べています。ワクワクする技術ですが、実際に使えるようになるまでにはもう少し時間がかかりそうです。
Google「Project Genie」との違いは?
じつは、Robloxの発表のわずか1週間前に、Googleも似たような技術を発表していました。「Project Genie(プロジェクト・ジーニー)」という名前で、こちらもテキストから3D世界を生成する技術です。
2つの技術の違いを、かんたんに比べてみましょう。
| 比較ポイント | Roblox リアルタイムドリーミング | Google Project Genie |
|---|---|---|
| フレームレート | 16fps | 20〜24fps |
| 解像度 | 832×480p | フォトリアリスティック |
| 強み | Robloxの膨大な3Dデータで学習 | Google DeepMindの研究力 |
| 公開状況 | 研究段階(時期未定) | 米国のAI Ultra会員に提供中 |
| 対象ユーザー | Robloxクリエイター | 一般ユーザー |
Googleの方がフレームレートでは上回っていますが、Robloxにはすでに数百万人のクリエイターと数億人のプレイヤーがいるという圧倒的な強みがあります。技術が完成すれば、すぐに巨大なユーザーベースに届けられるのです。
つまり、Googleは「技術のすごさ」で勝負し、Robloxは「すでにあるゲームの世界に組み込める実用性」で勝負しているといえます。
日本のクリエイターや教育現場への影響
4D生成の登場は、日本にも大きな影響を与えそうです。
クリエイターへの影響
これまでRobloxでゲームを作るには、プログラミング言語「Luau(ルアウ)」の知識が必要でした。しかし4D生成により、テキスト入力だけでゲーム内のオブジェクトを作れるようになります。プログラミングができない人でもゲーム制作に参加できる裾野が一気に広がるのです。
日本にはアニメやマンガの優れたクリエイターが多く、こうした人たちがプログラミングの壁なしにRobloxで作品を作れるようになれば、日本発のRobloxゲームが世界的にヒットする可能性も高まります。
教育現場への影響
日本の学校では、すでにRobloxを使ったプログラミング教育の取り組みが始まっています。Robloxの良いところは、子どもたちを「遊ぶ人」から「作る人(クリエイター)」に変えるしくみが整っていることです。
4D生成の登場で、探究学習の新しい可能性が開けます。たとえば「理想の街をデザインしよう」という授業で、子どもたちがテキスト入力だけで3Dの街を作り、実際に歩き回って検証する――そんな学びが現実になるかもしれません。
ちなみに、Robloxは2026年1月からチャット機能に顔認証による年齢チェックを導入しました。子どもの安全対策も強化されており、教育現場でも安心して使いやすくなっています。
まとめ
この記事のポイントをおさらいしましょう。
- Robloxの「4D生成」は、テキスト入力だけで動いて操作できる3Dオブジェクトを自動生成する技術
- AIモデル「Cube」が3Dの形をトークンとして理解し、機能付きオブジェクトを生成する
- 「リアルタイムドリーミング」では、ワールド全体をリアルタイムで自動生成する研究が進行中(832×480p、16fps)
- Googleの「Project Genie」とは競合関係にあるが、Robloxは巨大なユーザーベースが強み
- 日本ではユーザー数が125%増と急成長中。クリエイターや教育現場に大きな可能性
- プログラミング不要でゲームが作れる時代が、すぐそこまで来ている
AIがゲーム制作のハードルを劇的に下げる「4D生成」。まだオープンベータの段階ですが、ゲームの作り方そのものを変える可能性を秘めています。ゲーム好きな方やクリエイターを目指す方は、今のうちにRoblox Studioで試してみるのがおすすめです。
参考文献
- Roblox’s 4D creation feature is now available in open beta | TechCrunch
- Accelerating Creation, Powered by Roblox’s Cube Foundation Model | Roblox公式
- Roblox、AIを活用した「リアルタイムドリーミング」を発表 | 4Gamer.net
- Roblox、AI活用のワールドモデル「リアルタイムドリーミング」発表 | Real Sound
- Roblox unveils AI-powered ‘Real-time Dreaming’ | GIGAZINE
- Project Genie: AI world model | Google Blog


