普段、仕事や学校でGoogleドキュメントを使っている皆さん、こんな経験はありませんか?
「レポートを書きたいけど、参考にする資料が多すぎて、あちこちのタブを開いたり閉じたりするのが大変…」 「企画書に正確なデータを引用したいけど、元の資料を探し出すのが面倒…」 「論文で参考文献を元に記述したいけど、不確かな情報を混ぜてしまわないか不安…」
情報が溢れる現代において、信頼できる情報源(ソース)を元に、正確で説得力のある文章を作成することは、ますます重要になっています。しかし、その作業には多くの時間と手間がかかるのが現実でした。
そんな私たちの悩みを根本から解決する、まさに「革命的」な機能が、Googleドキュメントに登場しました。2025年10月30日にGoogleが発表した、AI「Gemini」を活用した新機能「ソースに基づくライティング支援(Source-grounded writing help)」です。
この記事では、この新機能がどれほど画期的なのか、私たちの文章作成のプロセスをどう変えるのか、そして具体的な使い方まで、誰にでも分かるように優しく解説していきます。
「ソースに基づくライティング支援」とは?あなたのドキュメントが“賢く”なる!
この新機能を一言で表すなら、「Googleドキュメントが、あなた専用の超優秀なリサーチアシスタントになる」機能です。
これまでも、Googleドキュメント上でGemini(旧Bard)を呼び出して、文章のアイデア出しや要約をさせることはできました。しかし、そのAIが参照する情報は、インターネット上の広範なデータであり、必ずしも正確とは限らず、どの情報を元に回答しているのかも不明確でした。
しかし、この「ソースに基づくライティング支援」機能は全く違います。ユーザーがドキュメント内にリンクとして貼り付けた情報源(Webサイト、PDF、社内資料など)だけを「教科書」として、Geminiが文章の生成、要約、質問への回答を行ってくれるのです。
これにより、AIの回答の「信頼性」が劇的に向上します。自分が選んだ信頼できる資料や、社内の機密情報など、閉じた範囲の情報だけを元にAIが働いてくれるため、不確かな情報が混じる心配がありません。これは、正確性が求められるビジネス文書や学術論文の作成において、計り知れないメリットをもたらします。
従来の方法とどれほど違うのか、表で比較してみましょう。
| 項目 | 従来の方法(一般的なAIライティング) | 新機能「ソースに基づくライティング支援」 |
| 情報源 | インターネット上の不特定多数の情報 | ユーザーがドキュメント内に指定したリンクのみ |
| 信頼性 | 不確かな情報が混じる可能性があり、ファクトチェックが必須 | 自分で選んだ信頼できるソースのみを使用するため、非常に高い |
| 作業プロセス | 複数のWebサイトや資料を開き、情報をコピペしてAIに要約させる | ドキュメントに参考資料のリンクを貼っておくだけでOK |
| 情報漏洩リスク | 機密情報をAIにペーストすると漏洩の危険性 | Google Workspaceのセキュアな環境内で完結 |
| 作業時間 | 多くの手間と時間がかかる | 大幅な時間短縮が実現 |
まさに、AIの「創造力」と、人間が選んだ「信頼性」を融合させた、次世代の文章作成スタイルと言えるでしょう。
超カンタン!具体的な使い方を3ステップで解説
この革新的な機能の使い方は、驚くほどシンプルです。難しい設定は一切必要ありません。
ステップ1:準備 〜信頼できる情報源のリンクを貼る〜
まずは、いつも通りGoogleドキュメントで文章を作成し始めます。そして、文章の参考にするWebサイト、社内文書へのリンク、オンライン上のPDF資料など、関連する情報源のURLをドキュメント内に貼り付けておきます。これがAIの「教科書」になります。
ステップ2:Geminiを起動し、「ソース」を指定する
ドキュメントの右側にあるサイドパネルからGeminiを起動します。そして、Geminiに何かを尋ねる際に、回答の根拠とする情報源として「ドキュメント内のリンク(Document links)」というオプションを選択します。これにより、Geminiはあなたがドキュメント内に貼り付けたリンク先の情報だけを参照するモードに切り替わります。
ステップ3:AIに指示を出す(プロンプト入力)
あとは、AIにやってほしいことを具体的に指示するだけです。
【指示の例】
「上記リンクの市場調査レポートを基に、2026年の市場動向について300字で要約して。」 「これらの参考記事の内容を統合し、新製品のプロモーション戦略のアイデアを3つ提案してください。」 「この論文の結論部分を、ソース[1]とソース[2]を引用しながら、学術的なトーンで記述してください。」
Geminiは、指定されたリンク先の情報だけを正確に読み解き、あなたの指示に従って文章を生成したり、質問に答えたりしてくれます。これまで複数の資料を読み比べて、頭の中で情報を整理し、キーボードを打っていた作業が、AIとの対話を通じて、あっという間に完了してしまうのです。
どんな場面で役立つ?広がる活用シーン
この機能は、様々なシーンで私たちの生産性を飛躍的に向上させてくれます。
•学生のレポート・論文作成 参考文献リストのURLをドキュメントに貼っておけば、正確な引用に基づいた考察や結論部分の執筆をAIがサポートしてくれます。文献レビューにかかる時間が大幅に短縮され、より深い思考に時間を使えるようになります。
•ビジネスパーソンの企画書・報告書作成 市場調査データ、競合他社の分析レポート、社内の過去資料などへのリンクを元に、現状分析や戦略立案のパートをAIに作成させることができます。これにより、よりデータに基づいた、説得力のある資料を短時間で作成可能です。
•研究者の論文執筆 膨大な数の先行研究の論文リンクを貼り付け、「これらの研究の共通点と相違点をまとめて」と指示するだけで、面倒な文献整理作業をAIが代行。研究の本質的な部分に集中できます。
•ライターや編集者の記事制作 取材の録音データ(文字起こし済み)のリンクや、複数の参考記事のURLを元に、記事の骨子やドラフトをAIに作成させることができます。構成案の作成から執筆までの時間を劇的に短縮します。
利用できるプランは?
この便利な機能は、以下のGoogle WorkspaceプランやGoogle Oneプランで利用可能です。(2025年11月現在)
•Google Workspace Business Standard, Business Plus
•Google Workspace Enterprise Standard, Enterprise Plus
•Gemini Business, Enterprise
•Google AI Pro for Education
•Google One AI Premium
多くの法人向けプランや、個人向けのプレミアムプランが対象となっており、幅広いユーザーがこの革命的な機能の恩恵を受けられるようになっています。
まとめ:文章作成は「作業」から「対話」へ
Googleドキュメントの「ソースに基づくライティング支援」機能は、単に文章を自動生成するツールではありません。これは、信頼できる情報とAIの能力を掛け合わせ、人間の知的な生産活動を増幅させるための「知の増幅ツール」です。
これからの文章作成は、一人で黙々とキーボードを叩く「作業」から、信頼できるアシスタントであるAIと対話しながら、より質の高い成果物を共に創り上げていく「知的共創」へと進化していくでしょう。
Googleドキュメントを開けば、そこにはもう、あなた専用の優秀なリサーチアシスタントが待っています。この新しい時代の文章作成スタイルを、ぜひ体験してみてください。
参考文献 (https://workspaceupdates.googleblog.com/2025/10/improve-writing-gemini-google-docs-sources.html)


