- パソコンやスマホに使う「DRAM」の価格が、たった3カ月で約90%も値上がりしました
- 原因は、AIを動かすデータセンターがメモリを大量に買い占めていることです
- 2026年末までにPCは約17%、スマホは約13%値上がりすると予測されています
- この品薄は2027年ごろまで、長ければ2028年以降まで続く見込みです
- 「今すぐ必要なものだけ買う」「中古も選択肢に入れる」など、賢い買い方を紹介します
新しいパソコンやスマホを買おうとして、「あれ、去年より高くない?」と感じたことはありませんか。実はいま、機械の中身であるメモリの値段が記録的なスピードで上がっています。この記事を読むと、なぜ値上がりが起きているのか、いつまで続くのか、そして損をしない買い方がわかります。
何が起きている?DRAM価格が3カ月で90%急騰
まず、いま起きていることを整理します。
DRAM(パソコンやスマホが計算するときに使う、一時的な記憶メモリ)の価格が急上昇しています。
調査会社カウンターポイントによると、2026年1〜3月のDRAM価格は前の3カ月とくらべて約90%も上がりました。たった四半期で価格がほぼ2倍になった計算です。
これは、長くこの業界を見てきた専門家でさえ驚くほどの異常な値上がりでした。
しかも勢いは止まっていません。続く4〜6月も、さらに50%以上の値上げが見込まれています。
一部の高性能メモリ「DDR5」では、わずか半年で5倍以上になった例まで報告されています。
なぜ急騰?AIがメモリを”独り占め”している
では、なぜここまで一気に値上がりしたのでしょうか。答えは、世界中で進むAIブームにあります。
AI専用メモリ「HBM」に生産が集中
ChatGPTのような生成AIを動かすには、巨大なデータセンターが必要です。
そこで使われるのが、HBM(広帯域メモリ。AI向けに作られた超高性能なメモリ)という特別な部品です。
このHBMは、ふつうのメモリよりずっと高く売れます。だからメーカーは、もうけの大きいHBM作りを最優先にしているのです。
世界の大手メーカーは、サムスン、SKハイニックス、マイクロンの3社にほぼ絞られています。この3社が工場のスペースをHBMに振り向けた結果、私たちが使うふつうのDRAMの生産が後回しになりました。
巨大IT企業が在庫を先に押さえる
さらに、マイクロソフトやグーグル、メタ、アマゾンといった巨大IT企業が、メモリを先回りして大量に確保しています。
AIが実際に消費するメモリの量は、2026年には世界全体の生産の約20%に達するとの試算もあります。
一方で、工場を増やすのには時間がかかります。需要は爆発しているのに、供給が追いつかない。これが価格急騰の正体です。
私たちの財布への影響|PC・スマホはいくら上がる?
気になるのは、自分の買い物にどう響くか、ですよね。
パソコンの製造コストに占めるメモリの割合は、2025年の約16%から2026年には23%超へと一気にふくらむと見られています。一部の試算では35%に達するとの見方もあります。
部品代が上がれば、当然、売り値にもはね返ります。
調査会社IDCは、2026年末までにパソコンは約17%、スマートフォンは約13%値上がりすると予測しています。タブレットを含め、機種によっては10〜20%の上昇もありえるとしています。
とくに打撃が大きいのが、200ドル(約3万円)以下の安いスマホです。メモリ代の比率が高いため、部品コストが約25%も上がってしまうケースがあります。
デル、レノボ、HPといった大手メーカーは、すでに2026年初めから値上げに動いています。
今回の高騰は過去と何が違う?
メモリの値段は、もともと上がったり下がったりを繰り返してきました。では、今回はこれまでと何が違うのでしょうか。
過去の高騰は、スマホの新発売やパソコンの買い替えブームなど、消費者の需要がきっかけでした。波が引けば、価格も自然に落ち着いたのです。
ところが今回の主役は、私たち消費者ではありません。AIデータセンターという、けた違いに大きな”買い手”です。
しかもこの買い手は、価格が高くても気にせず買い続けます。AIで大きなもうけが見込めるからです。
つまり、メモリが消費者向けではなくAI向けに優先される構造そのものが変わってしまいました。だから値段が下がりにくいのです。
SKハイニックスの会長は、この品薄が2030年まで続く可能性にまで言及しています。
日本のユーザーへの影響は?
この値上がりは、もちろん日本にも直撃します。
メモリは世界共通の部品なので、海外の価格上昇はそのまま国内の店頭価格に反映されます。さらに円安が重なると、輸入コストが増えて値上げ幅はもっと大きくなりがちです。
国内の市場調査でも、2026年にかけてパソコン本体が10〜20%以上値上がりするとの指摘が出ています。
新生活シーズンや進学・就職でパソコンを買う家庭にとっては、痛い出費になりそうです。
自作パソコンを楽しむ人にも影響は深刻です。メモリ単体やSSDの値段が上がり、「組むより完成品を買うほうが安い」という逆転現象も起き始めています。
値上げ時代の賢い買い方|今できる対策
では、私たちはどう動けばよいのでしょうか。すぐに使える3つの考え方を紹介します。
必要なときに、必要な分だけ買う
新社会人のAさんが、初めてのパソコンを選ぶ場面を考えてみましょう。
「将来のために」と最高スペックを狙うと、いまは割高です。動画編集などをしないなら、メモリ16GBほどの標準的なモデルで十分なことが多いです。
背伸びをせず、自分の使い方に合った容量を選ぶことが節約の第一歩です。
あとから増やせる部品は後回しに
自作パソコンを検討している学生のBさんのケースです。
メモリやSSDは、あとから自分で簡単に増設・交換できます。値段が落ち着いてから買い足せばよいのです。
逆に、電源やケース、マザーボードなど交換が面倒な部品にこそ、いま予算をかけておくのが賢い選び方です。
中古や型落ちも選択肢にする
在宅ワーク用に2台目がほしい主婦のCさんなら、無理に新品を狙う必要はありません。
メモリ16GBの中古パソコンは、新品の半額以下で見つかることもあります。少し前のモデルでも、ネットや書類作業なら十分に活躍します。
「最新でなくてもいい」と割り切ると、値上げの波をうまくかわせます。
よくある質問(FAQ)
Q1. メモリの値上がりはいつまで続きますか?
2027年ごろから新しい工場が動き始め、少しずつ落ち着くとの見方が有力です。ただし長引けば2028年以降まで高値が続く可能性もあります。
Q2. いまパソコンを買うのは損ですか?
今すぐ必要なら、買うこと自体は問題ありません。ただし最高スペックは避け、必要十分な容量にしぼると出費をおさえられます。
Q3. スマホも同じように高くなりますか?
はい。とくに安い価格帯のスマホは影響が大きく、2026年末までに約13%値上がりすると予測されています。
Q4. なぜAIのせいでパソコンが高くなるのですか?
AIを動かすデータセンターがメモリを大量に買い占めているからです。メーカーがそちらを優先するため、私たち向けの分が不足しています。
Q5. メモリだけ別に買い足すのはアリですか?
アリです。あとから増設できる部品なので、価格が下がったタイミングで買い足すと無駄がありません。
まとめ
今回のポイントを振り返ります。
- DRAM価格は2026年1〜3月に約90%急騰し、いまも上昇が続いています
- 原因はAIデータセンター向けメモリ(HBM)に生産が集中していることです
- 2026年末までにPCは約17%、スマホは約13%値上がりする見込みです
- 過去と違い、AIという巨大な買い手が主役のため値下がりしにくい構造です
- 品薄は2027年ごろまで、長ければ2028年以降まで続く可能性があります
まずは自分の使い方を見直し、本当に必要な容量だけを選ぶことから始めてみてください。

