この記事でわかること
- Claude Opus 4.6とは何か、どんな新機能があるのか
- ソフトウェア株が急落した理由と「SaaSpocalypse」の正体
- Coworkプラグインが専門ソフトを置き換えると言われる理由
- 日本のソフトウェア業界への具体的な影響
- この流れはパニックなのか、本物の変化なのか
2026年2月5日、Anthropic社が最新AIモデル「Claude Opus 4.6」を発表しました。するとその直後、世界中のソフトウェア関連の株価が急落するという異例の事態が起きました。
「AIが専門ソフトを置き換えてしまうのでは?」という不安が投資家の間で広がったのです。この記事では、何が起きたのかを中学生でもわかるようにやさしく解説します。
Claude Opus 4.6とは?3つの注目ポイント
Claude Opus 4.6は、Anthropic社が開発したAIモデルの最新版です。前のバージョン(Opus 4.5)から大きく進化した3つのポイントを紹介します。
100万トークンの超大容量
トークンとは、AIが文章を処理するときの単位です。Opus 4.6は一度に100万トークン(日本語で約50万字)を処理できます。これは文庫本で約5冊分にあたります。つまり、大量の資料を一度にAIに読ませて分析させることができるのです。
エージェントチーム機能
これまでのAIは、1つの仕事を順番にこなしていました。Opus 4.6では「エージェントチーム」という新機能が加わりました。これは、複数のAIがチームを組んで同時に作業する仕組みです。
たとえるなら、今までは1人の作業員が1つずつタスクをこなしていたのが、5人のチームで分担して同時に進められるようになった、というイメージです。
コーディング能力が大幅アップ
プログラミングの実力を測るテスト「SWE-bench Verified」で、Opus 4.6は80.8%という高いスコアを記録しました。また、「Terminal-Bench 2.0」では65.4%を達成し、前バージョンの59.8%から大きく向上しています。
つまり、プロのエンジニアが行うような実際のソフトウェア開発作業を、AIがかなりの精度でこなせるようになったということです。
なぜソフトウェア株が急落したのか?
Opus 4.6の発表後、世界中のソフトウェア関連の株価が大きく下がりました。S&P北米ソフトウェア指数は1月だけで15%下落し、これは2008年10月以来の大きな落ち込みです。
投資家たちが恐れたのは、こういうことです。
- AIが進化しすぎて、今まで高いお金を払って使っていた専門ソフトが不要になるのでは?
- 毎月の利用料(サブスクリプション)で安定収入を得ていたSaaS企業のビジネスモデルが崩れるのでは?
実際にヘッジファンド(大口の投資家)たちは、2026年に入ってからソフトウェア株の空売りで約240億ドル(約3.6兆円)の利益を得ています。「SaaSpocalypse(SaaSの黙示録)」という言葉まで生まれました。
Coworkプラグインが「脅威」と言われる理由
株価急落の引き金となったのが、Anthropicの「Cowork」というツールです。Coworkは2026年1月にプラグイン(拡張機能)に対応し、AIがパソコンの中のファイルを直接操作できるようになりました。
具体的にできることを見てみましょう。
- Excel:データ分析、グラフ作成、関数の自動入力
- PowerPoint:スライドの自動生成、デザインの調整
- 法務:契約書のレビューと修正
- 財務:決算書の分析レポート作成
たとえば、これまで専門の法務ソフトに月額数万円を払って契約書をチェックしていた会社が、Claude(月額約3,000円〜)で同じことができてしまう。これが「専門ソフト置き換え」の脅威の正体です。
Anthropicが法務向けのプラグインを発表した日には、法律関連ソフトウェア企業の株価が一斉に急落しました。
日本のIT企業にも影響が波及
この株価急落は日本にも波及しています。日本の大手IT企業の株価にも影響が出ました。
- TIS(情報サービス大手):約16%下落
- トレンドマイクロ(セキュリティソフト):7%以上下落
- NS Solutions(ITサービス):7%以上下落
「AIが既存の業務ソフトや情報サービスを代替して、需要が奪われる」という見方が広がったためです。
特に、これまで専門のアナリストが2〜3週間かけて行っていた財務分析を、Claude Opus 4.6がわずかな時間で自動化できるようになったことは、業界に大きな衝撃を与えました。
パニックか、本物の変化か?専門家の見方
この株価急落について、専門家の間でも意見が分かれています。
「パニックに過ぎない」派
CNBCの報道によると、一部の専門家は「今はソフトウェア業界にとって最もワクワクする瞬間だ」と述べています。AIによって新しいソフトウェアの需要が生まれ、むしろ市場全体は拡大するという見方です。
Anthropicの幹部も「私たちの目標はAIを既存のツールと統合することであり、置き換えることではない」と説明しています。
「本物の変化だ」派
一方で、DA Davidsonのアナリスト、ギル・ルリア氏は「ヘッジファンドはすべてソフトウェア株を空売りしている」と指摘しています。ソフトウェア業界の時価総額は約1兆ドル(約150兆円)減少しており、これは単なるパニックとは言い切れない規模です。
ちなみに、SaaStr(SaaS業界の大手メディア)は「これは単なる株価の暴落ではなく、ビジネスモデルそのものの転換期だ」と分析しています。
私たちの生活にどう影響する?
「株の話でしょ?自分には関係ない」と思うかもしれません。でも、この変化は私たちの仕事や生活にも影響します。
- 仕事の効率化:Excelの分析やプレゼン資料の作成がAIでもっと速くなる
- ソフトの値下げ:AI代替の脅威から、従来のソフトウェアが価格を下げる可能性がある
- 新しい仕事の誕生:AIを使いこなす「AIオペレーター」のような新しい職種が生まれつつある
- 学び方の変化:専門ソフトの使い方を覚えるより、AIへの指示の出し方を学ぶことが大切になる
たとえるなら、かつて電卓が普及したとき、そろばん教室は減りましたが、計算を使う仕事そのものはなくなりませんでした。同じように、ツールは変わっても、仕事の本質は残ると考えられます。
まとめ
今回の記事のポイントをまとめます。
- AnthropicがClaude Opus 4.6を発表。100万トークン対応・エージェントチーム機能・コーディング能力が大幅進化
- 発表後、世界のソフトウェア株が急落。S&P北米ソフトウェア指数は1月に15%下落
- Coworkプラグインにより、AIがExcel・PowerPoint・法務・財務の作業を直接こなせるようになった
- ヘッジファンドはソフトウェア株の空売りで約240億ドル(3.6兆円)の利益を獲得
- 日本でもTIS(-16%)やトレンドマイクロ(-7%)などIT企業の株価が下落
- 専門家の意見は「パニック」と「本物の変化」で二分されている
- 私たちの生活にも仕事の効率化や学び方の変化として影響が出る見込み
AIの進化は止まりません。大切なのは、変化を恐れるのではなく、AIをうまく活用する方法を学ぶことです。今回の株価急落が「パニック」で終わるのか「本物の転換点」になるのか、今後の動きに注目していきましょう。
参考文献
- Anthropic「Introducing Claude Opus 4.6」
- TechCrunch「Anthropic releases Opus 4.6 with new ‘agent teams’」
- CNBC「AI fears pummel software stocks: Is it ‘illogical’ panic or a SaaS apocalypse?」
- CNBC「Hedge funds made $24 billion shorting software stocks」
- gihyo.jp「Claude Opus 4.6およびGPT-5.3-Codexがリリース」
- ビジネス+IT「Anthropicが『Claude Opus 4.6』を発表」

