2026年2月5日、Anthropic(アンソロピック)がClaude Opus 4.6をリリースしました。その目玉機能が「Agent Teams(エージェントチーム)」です。これは、複数のAIが同時にチームを組んで作業するという、まったく新しい仕組みです。
この記事でわかること
- Agent Teamsとは何か、どんな仕組みなのか
- 100万トークンの文脈ウィンドウの意味
- 実際にどう使われているのか(事例紹介)
- 料金はいくらかかるのか
- 日本の開発者にとってどんな影響があるのか
Agent Teamsとは?
Agent Teams(エージェントチーム)とは、複数のAIエージェントがチームを組んで、大きな仕事を分担する仕組みです。
たとえば、会社で大きなプロジェクトを進めるとき、1人でやるより複数人で分担したほうが早いですよね。Agent Teamsも同じ考え方です。1つのAIだけで順番にタスクをこなすのではなく、複数のAIが同時に動いて、それぞれ自分の担当を進めるのです。
この機能はClaude Code(クロードコード)というAI開発ツールの中で使えます。現在は「リサーチプレビュー」という試験段階で提供されています。
Agent Teamsの仕組み
Agent Teamsは「リーダーとチームメイト」という構造で動きます。
まず、1つのメインAI(チームリーダー)が全体のタスクを見渡します。そして、やるべき仕事を分析して、複数のAIチームメイトに割り振ります。
具体的な流れはこうです。
- リーダーが全体の作業計画を立てる
- チームメイトがそれぞれ独立したClaude Codeセッションとして動く
- 各チームメイトはtmux(ターミナルを分割するツール)の別パネルで並列に作業する
- 共有タスクリストとメッセージで連携する
つまり、人間のチーム開発に近いスタイルでAIが協力し合うわけです。リーダーがどのパーツを誰に任せるか判断し、チームメイトがそれぞれ自律的に作業を進めます。
100万トークンとAdaptive Thinking
Agent Teams以外にも、Opus 4.6には注目の新機能があります。
100万トークンの文脈ウィンドウ
トークンとは、AIが一度に読める情報量の単位です。Opus 4.6では100万トークンまで対応しました。これは日本語でおよそ50万文字に相当します。
たとえば、小説10冊分くらいの文章を一度にAIに読ませることができます。大規模なプログラムのコード全体を把握したまま修正するといった使い方が可能になりました。
ベンチマーク(AIの性能テスト)でも、100万トークンの長文理解テスト「MRCR v2」で76%のスコアを記録。以前のモデルの18.5%から大幅に向上しています。
Adaptive Thinking(適応的思考)
もう1つの新機能が「Adaptive Thinking」です。これは、AIが問題の難しさに応じて考える深さを自動調整する仕組みです。
簡単な質問にはサッと答え、難しい問題にはじっくり考える。人間が日常的にやっていることを、AIも自動でできるようになりました。開発者は「low(低)」「medium(中)」「high(高)」「max(最大)」の4段階で調整できます。
実際の活用事例
Agent Teamsがどれほどの力を発揮するのか、具体的な事例を見てみましょう。
16体のAIでCコンパイラを構築
Anthropicのエンジニアであるニコラス・カリーニ氏は、16体のAIエージェントを同時に動かして、Rust言語でCコンパイラを構築しました。結果、わずか2週間で10万行の本番品質のコードが完成したと言われています。
1人の人間エンジニアがこの作業をするなら、数ヶ月はかかるでしょう。Agent Teamsによって、開発スピードが劇的に上がった好例です。
企業の調査業務を短縮
ある企業では、シニアアナリストが2〜3週間かけて行う「買収候補の評価」を、Opus 4.6が最初の1回で正確に完了した事例も報告されています。Agent Teamsの並列処理と、100万トークンの長文理解力を組み合わせた結果です。
料金と注意点
気になる料金について見てみましょう。
基本料金
- 入力: 100万トークンあたり5ドル(約750円)
- 出力: 100万トークンあたり25ドル(約3,750円)
- 20万トークンを超える長文は割増料金(入力10ドル、出力37.5ドル)
ちなみに、プロンプトキャッシュ(同じ内容を繰り返し使う場合の節約機能)を使えば最大90%のコスト削減が可能です。
Agent Teams利用時の注意
Agent Teamsは通常の約7倍のトークンを消費すると報告されています。複数のAIが同時に動くため、当然コストも上がります。
節約のコツとして、リーダーにはOpus 4.6、チームメイトにはSonnet 4.5(より安価なモデル)を使い分ける方法が推奨されています。性能とコストのバランスを取る工夫です。
日本の開発者への影響
Agent Teamsの登場は、日本の開発現場にも大きな影響を与えそうです。
まず、少人数のチームでも大規模開発が可能になります。人手不足が深刻な日本のIT業界にとって、AIチームメイトの恩恵は大きいでしょう。
また、日本語での技術記事もすでに多数公開されており、国内の開発者コミュニティでの関心の高さがうかがえます。QiitaやZennなどの技術ブログでは、Agent Teamsのセットアップ方法や活用事例が活発に共有されています。
ただし、Agent Teamsを使いこなすには「タスクをうまく分割する力」が求められます。AIに何をさせるかを的確に指示できる人材の需要が、今後ますます高まると考えられます。
まとめ
Claude Opus 4.6のAgent Teamsについて解説しました。要点を振り返りましょう。
- Agent Teamsは複数のAIがチームを組んで並列で作業する新機能
- リーダーが全体を統括し、チームメイトが独立して作業を進める構造
- 100万トークンの文脈ウィンドウで、大規模なコードやドキュメントを一度に処理可能
- 16体のAIで10万行のコードを2週間で完成させた事例がある
- 通常の約7倍のトークンを消費するため、コスト管理が重要
- 日本の少人数開発チームにとって、生産性向上の大きな可能性を秘めている
AI開発ツールの進化は加速しています。Agent Teamsはまだリサーチプレビューの段階ですが、今後の正式リリースに向けて、使い方を学んでおくと良いかもしれません。

