この記事でわかること
- AnthropicがスーパーボウルCMでOpenAIの広告導入を皮肉った内容
- OpenAIのChatGPT広告はどんな仕組みなのか
- Sam Altmanが猛反発した理由と発言の中身
- 「AIに広告」は私たちのAI体験をどう変えるのか
- 日本のユーザーにとって何が変わるのか
2026年2月9日(日本時間)に開催されるアメリカ最大のスポーツイベント「スーパーボウル」。そのCM枠をめぐって、AI業界の二大巨頭が激しくぶつかっています。
Anthropic社はClaude(クロード)の「広告なし宣言」をスーパーボウルCMで大々的にアピール。一方、OpenAI社のCEOサム・アルトマン氏は「不誠実だ」と猛反発しました。この記事では、何が起きているのかをやさしく解説します。
そもそも何が起きた?スーパーボウルCMの中身
スーパーボウルは、アメリカで約1億2000万人が視聴する一大イベントです。CM枠は30秒で約10億円とも言われ、企業にとって最高のアピールの場です。
Anthropic社は今回、初めてスーパーボウルCMを放映しました。キャンペーン名は「A Time and a Place(時と場所をわきまえよう)」。広告代理店Motherが制作し、ジェフ・ロウ氏が監督を務めました。
CMの内容はこんな感じ
CMは全部で4本あり、どれも「AIチャットに広告が入ったら、こんなに滑稽なことになるよ」という内容です。
たとえば1本目では、男性がAIチャットボットに「母親ともっとうまく話すにはどうすればいい?」と相談します。最初はまともなアドバイスをしてくれるのですが、途中から急に「Golden Encounters」という架空の出会い系サイトの広告に変わってしまいます。
別のCMでは、やせ型の男性が「腹筋を割る方法」を聞くと、身長を高く見せるインソールの広告が表示されます。
どのCMも最後に、こう締めくくります。
「広告はAIにもやってくる。でもClaudeにはやってこない」
OpenAIのChatGPT広告って何?
Anthropicが皮肉っている相手は、もちろんOpenAI社のChatGPTです。OpenAIは2026年1月、ChatGPTに広告を導入すると発表しました。
どんな広告が表示されるの?
- 表示場所:ChatGPTの回答テキストの下に表示される
- 対象ユーザー:無料版とGoプラン(月額約1,500円)のユーザー
- 仕組み:ユーザーの会話の文脈に合った広告が出る(コンテキスト連動型)
- 有料プラン:Pro・Business・Enterpriseプランには広告なし
OpenAIは「回答の中には絶対に広告を入れない」「広告にはラベルを付ける」と約束しています。つまり、AnthropicのCMで描かれたように「AIの回答が広告に乗っ取られる」ことは起きない、というのがOpenAIの主張です。
サム・アルトマンが猛反発した理由
CMを見たOpenAI CEOのサム・アルトマン氏は、SNS(X)で長文の反論を投稿しました。
まず「面白かったし、笑った」と認めつつも、すぐに語気を強めました。
- 「なぜAnthropicは明らかに不誠実な内容にしたのか疑問だ」
- 「ChatGPTがCMで描かれたような広告の出し方をするわけがない」
- 「Anthropicはお金持ち向けの高額製品を売っているだけだ」
- 「Anthropicは独裁的な企業で、気に入らない会社にはClaudeを使わせない」
かなり感情的な反応に見えますが、裏を返せば、AnthropicのCMがそれだけ痛いところを突いたということでしょう。
なぜこの対決が重要なのか?
「海外のCMの話でしょ?」と思うかもしれません。でも、この対決の本質は「AIの信頼性をどう守るか」という、私たち全員に関わるテーマです。
広告が入ると何が問題なの?
たとえば、あなたが「おすすめのパソコンを教えて」とAIに聞いたとします。広告のないAIなら、純粋にあなたに合った製品を提案してくれます。
でも、広告モデルのAIだと「この回答は広告に影響されていないかな?」という疑念が生まれます。たとえ実際には影響がなくても、信頼が揺らぐこと自体が問題なのです。
これは、Google検索で「広告」ラベルのついた検索結果を無意識にスキップする人が多いのと同じ心理です。
ビジネスモデルの違いが本質
この対決の背景には、2つの企業のビジネスモデルの違いがあります。
- OpenAI:週間8億人以上のユーザーを持ち、広告で無料ユーザーからも収益を得るモデルへ転換
- Anthropic:広告を入れず、有料サブスクリプションで収益を確保するモデルを維持
どちらが正しいとは言い切れません。OpenAIの広告モデルはAIを無料で使える人を増やすメリットがあります。一方、Anthropicのモデルは回答の中立性を守りやすいというメリットがあります。
日本のユーザーに影響はある?
ChatGPTの広告は、まずアメリカで2026年前半にテスト開始予定です。日本への展開時期は未定ですが、いずれ日本にもやってくる可能性が高いです。
日本のネット上では、すでにさまざまな反応が出ています。
- 「結局は広告か」という諦めの声
- 「月額1,500円のGoプランなら広告なしで使えるなら検討する」という声
- 「チャット履歴が広告にどこまで使われるのか」というプライバシーへの不安
ちなみに、ChatGPTのProプラン(月額約3万円)やBusiness・Enterpriseプランを使っている人には広告は表示されません。無料ユーザーやGoプランユーザーが主な影響を受けます。
まとめ
今回のポイントをまとめます。
- AnthropicがスーパーボウルCMでClaude「広告なし」を大々的に宣言
- CMは「AIに広告が入るとこうなる」というユーモアたっぷりの4本構成
- OpenAIのサム・アルトマンCEOは「面白いけど不誠実」と猛反発
- ChatGPTの広告は回答の下に表示され、回答の中身には影響しないと約束
- 本質は「AIの信頼性をどう守るか」というビジネスモデルの対立
- 日本のユーザーにもいずれ影響が及ぶ可能性が高い
- 有料プラン(Pro・Business)には広告は表示されない
AIが私たちの生活に深く入り込む時代、「AIの回答を信頼できるか」は非常に大切なテーマです。広告の有無だけでなく、AIをどう使い、どう付き合っていくか。今回のスーパーボウルCM対決は、そんなことを考えるきっかけになりそうです。
参考文献
- TechCrunch「Sam Altman got exceptionally testy over Claude Super Bowl ads」
- CNBC「Anthropic takes aim at OpenAI’s ad push in Super Bowl commercial」
- Variety「Sam Altman Slams Anthropic Super Bowl Ads Jabbing OpenAI’s Ad Plans」
- CNN Business「Two of the biggest AI companies are feuding over a Super Bowl ad」
- OpenAI「Our approach to advertising and expanding access to ChatGPT」
- ITmedia「ChatGPTに月額1500円の「Go」プラン登場 広告表示テストも開始」

