AIリストラの真実とは?5万人解雇の裏側を解説

伊東雄歩
監修者 伊東 雄歩

株式会社ウォーカー CEO。東北大学卒。MENSA会員、JDLA認定講師、健全AI教育協会理事。生成AI×教育・学習科学を専門とし、2億円超のシステム開発プロジェクトを統括。

taolis.net X note Voicy YouTube

2025年、「AIに仕事を奪われた」として5万人以上が解雇されました。しかし専門家たちは「それ、本当にAIのせい?」と疑問を投げかけています。

この記事では、AIリストラの実態と「AIウォッシング」と呼ばれる新しい問題をわかりやすく解説します。

この記事でわかること

  • 2025年にAIを理由に解雇された人の数と主な企業
  • 「AIウォッシング」という言葉の意味
  • 本当の解雇理由はAIではない可能性
  • 解雇された人の半分が再雇用される見込み
  • 日本で働く人が知っておくべきこと

AIが原因で5万人以上が解雇された

2025年、世界のテック企業で約24万5,000人が職を失いました。そのうち5万人以上が「AIの導入」を理由に解雇されたと報じられています。

たとえば、AmazonやPinterestといった有名企業が「AIによる効率化」を理由に大規模な人員削減を行いました。

さらに2026年1月だけで、10万8,000人以上の解雇が発表されています。これは前年同月と比べて118%も増えた数字です。

つまり、AI関連のリストラは加速しているように見えます。しかし、本当にAIが原因なのでしょうか?

「AIウォッシング」とは何か?

ここで注目されているのが「AIウォッシング」という言葉です。

AIウォッシングとは、実際にはAIと関係ない理由で解雇しているのに、「AIのおかげで人が要らなくなった」と説明することです。

たとえるなら、テストで悪い点を取ったのに「問題が難しすぎたから」と言い訳するようなものです。本当の原因を隠して、もっともらしい理由を使っているわけです。

調査会社のForrester(フォレスター)は、「AIリストラを発表した企業の多くは、人の代わりになるAIをまだ持っていない」と指摘しています。

つまり、AIで仕事を置き換える準備ができていないのに、「AIのせい」と言っている企業が多いということです。

本当の原因はコロナ期の採用しすぎ

では、本当の解雇理由は何なのでしょうか?

専門家たちが指摘するのは、コロナ禍(パンデミック)の時期に人を採用しすぎたことです。

2020年〜2022年ごろ、テック企業はリモートワークの需要が急増し、大量に人を雇いました。しかし、その後需要が落ち着いたため、人が余ってしまったのです。

ブルッキングス研究所のモリー・キンダー氏は、「AIが原因と言えば投資家へのアピールになる」と説明しています。「経営がうまくいっていない」と言うよりも、「AIで効率化した」と言ったほうが株価にプラスだからです。

ちなみに、HBR(ハーバード・ビジネス・レビュー)の記事によると、企業はAIの「実際の成果」ではなく「将来の可能性」を理由に人を切っているそうです。

解雇された人の半分は再雇用される

驚くべきデータがあります。調査会社のGartner(ガートナー)は、2027年までに、AIを理由に解雇した企業の半数が、同じような仕事で人を再雇用すると予測しています。

実際にこんな例もあります。スウェーデンの決済企業Klarna(クラーナ)は、700人の従業員をAIに置き換えました。しかし、サービスの品質が下がり、顧客からの不満が殺到。結局、人間のスタッフを再び雇うことになりました。

また、Amazonの「Just Walk Out」という無人レジ技術は、AIが自動で処理していると宣伝されていました。しかし実際には、インドの遠隔作業者がカメラ映像を見て確認していたことがわかっています。

つまり、今のAIはまだ人間の代わりを完全にはできないケースが多いのです。

日本企業への影響はあるのか

日本でも、AIリストラの波は他人事ではありません。

Japan Todayの報道によると、日本の大企業では2025年上半期だけで約8,200人の50歳以上の社員に早期退職を募っています。これは前年の年間合計に近い数字です。

ただし、日本の2025年の失業率は2.5%と安定しており、労働力人口は過去最多の7,000万人を記録しています。日本は人手不足が深刻なので、アメリカとは状況が異なります。

とはいえ、グローバル企業の日本拠点では、海外本社の方針に合わせてAIを理由にした人員整理が行われる可能性があります。特にIT・テック系の職種は注意が必要です。

AIに仕事を奪われないためにできること

では、私たちはどうすればいいのでしょうか?

まず大事なのは、AIを「敵」ではなく「道具」として使えるようになることです。

2025年の調査では、AIを効果的に使いこなせる人(AIQ=AI活用力が高い人)は全体のわずか16%でした。2026年でも25%程度にしか増えないと言われています。

つまり、AIを使いこなせるだけで、上位25%に入れるということです。

具体的には、以下のことから始めてみましょう。

  • AIツールを日常業務で試してみる:ChatGPTやGeminiで文章作成や調べものを効率化する
  • プロンプト(指示文)の書き方を学ぶ:AIへの指示が上手になるだけで、生産性が大きく変わる
  • AIにできないスキルを磨く:人間関係の構築、創造的な発想、感情への共感など

まとめ

この記事のポイントを振り返りましょう。

  • 2025年にAIを理由に5万人以上が解雇された
  • しかし多くの企業は「AIウォッシング」をしている可能性がある
  • 本当の原因はコロナ期の過剰採用や利益確保の場合が多い
  • 2027年までに解雇された人の半数は再雇用される見込み
  • 日本は人手不足だが、グローバル企業の日本拠点は影響を受ける可能性がある
  • AIを使いこなすスキルを身につけることが最大の防御策

「AIに仕事を奪われる」と不安になるニュースは多いですが、実態を冷静に見ることが大切です。AIを味方にして、一歩先を行く準備を始めましょう。

参考文献

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です