「AIが弁護士の代わりになる時代が来るかも?」そんなニュースが、2026年2月にアメリカで大きな話題になりました。AIエージェント(自分で考えて行動できるAI)の法律スキルが急激に伸びているのです。
この記事では、AI弁護士の最新事情をやさしく解説します。
この記事でわかること
- AIの法律スキルがどれくらい上がったのか
- 海外と日本の法律AIサービスの最新状況
- AI弁護士にはどんな課題があるのか
- 弁護士の仕事が本当になくなるのかどうか
AI弁護士って何?最新ニュースをわかりやすく解説
2026年2月6日、アメリカのテック系メディア「TechCrunch」が衝撃的なニュースを報じました。Anthropic社が発表した最新AIモデル「Claude Opus 4.6」が、法律の専門タスクで大きな成果を出したのです。
具体的には、Mercor社が作った「プロの仕事をAIがどれだけできるか」を測るテストで、スコアが18.4%から29.8%へと一気に60%もジャンプしました。複数回のチャレンジでは平均45%に達しています。
Mercor社のCEO、ブレンダン・フーディ氏は「数ヶ月で18.4%から29.8%に跳ね上がるのはとんでもないこと」とコメントしています。
つまり、AIが法律の仕事をこなす能力は、ものすごいスピードで進化しているということです。
AIの法律スキルが急上昇!ベンチマーク結果がすごい
では、AIは具体的にどんな法律の仕事ができるようになったのでしょうか?
今回のテストでは、契約書の分析や法的なリサーチ、企業分析といった、実際に弁護士が行う複雑な業務が出題されました。
成功のカギとなったのは「エージェントスウォーム」という新技術です。これは、複数のAIが同時に協力して1つの問題に取り組む仕組みです。たとえるなら、1人の弁護士ではなく、弁護士チームが一緒に案件を担当するようなイメージです。
法律の仕事は「調べて」「分析して」「判断する」という何段階ものステップが必要です。この多段階の推論こそ、エージェントスウォームが得意とするところです。
ちなみに、1年前のAIはこのテストで10%程度しか取れませんでした。わずか1年で3倍以上になったと考えると、進化のスピードがわかります。
海外の法律AIサービスはここまで進んでいる
海外では、すでに法律AIサービスが実用化されています。代表的なものを紹介します。
Thomson Reuters「CoCounsel Legal」
法律情報の大手Thomson Reutersは「CoCounsel Legal」というAIサービスを展開しています。最大1万件の文書を一括レビューしたり、法的リサーチを自動で行ったりできます。
2026年にはアメリカとイギリスで「Deep Research」機能をリリース。AIが自分で調査計画を立て、包括的な法的リサーチを実行します。
LexisNexis「Protege」
LexisNexisの「Protege」は、4つの専門AIエージェントが協力して動きます。それぞれ「全体の指揮」「法律リサーチ」「Web検索」「顧客文書の分析」を担当し、チームワークで複雑な案件に対応します。
たとえば、ある裁判の準備をするとき、1つのAIが判例を調べ、別のAIが関連ニュースを検索し、もう1つが依頼人の書類を整理する。こんな連携プレーが可能です。
日本でも法律AIが急成長中
実は日本でも、法律AIの導入が急速に進んでいます。
LegalOn Technologies
日本発のLegalOn Technologiesは、弁護士が監修した法務特化型AIエージェント「LegalOnアシスタント」を提供しています。契約書のレビューや修正案の作成、法律相談への回答を自律的にこなします。
2026年1月には、指示するだけで契約書修正の一連の業務が完結する新機能も発表されました。利用企業は7,500社を超えています。
弁護士ドットコム「Legal Brain Agent」
弁護士ドットコムは「Legal Brain Agent」を開発しました。独自の「Legal Brain 1.0」技術を搭載し、法律の論点整理や判例・法令に基づく情報提供を行います。
若手弁護士のリサーチ業務を最大60%削減できると言われています。経験の少ない弁護士にとって、頼れるアシスタントになりつつあります。
リーガルエージェント
2026年2月にサービスを開始したリーガルエージェントは、Microsoft Wordに直接組み込まれるAIエージェントです。法律文書の作成時間を9割削減できるとして注目されています。
AI弁護士にはまだ課題がある
ここまで読むと「もう弁護士いらないのでは?」と思うかもしれません。しかし、大きな課題があります。
ハルシネーション(AIの嘘)問題
スタンフォード大学の研究によると、法律専門のAIツールでも17%〜34%の確率で間違った情報を出すことがわかっています。つまり、5回に1回は嘘をつく可能性があるということです。
汎用AIモデル(ChatGPTなど)はさらにひどく、法律の質問に対して58%〜88%の確率で間違えるという結果も出ています。
実際に、世界中の裁判所でAIが作った架空の判例を引用するケースが700件以上報告されています。存在しない裁判例をもっともらしく提示してしまうのです。
責任の所在
もしAI弁護士がミスをしたら、誰が責任を取るのでしょうか?AIを使った弁護士なのか、AIを作った会社なのか。この問題はまだ明確な答えが出ていません。
現在のところ、AIはあくまで「弁護士を助けるツール」であり、最終的な判断は人間の弁護士が行う必要があると考えられています。
弁護士の仕事はなくなるの?
結論から言うと、すぐに弁護士の仕事がなくなることはありません。
MITテクノロジーレビューの分析では「弁護士業務の44%がAIで自動化できる」という予測は誇大宣伝だと指摘しています。司法試験に合格できるAIでも、実際の業務はまだまだ難しいのです。
ただし、弁護士の働き方は大きく変わります。たとえば、判例調査や契約書チェックといった定型的な作業はAIに任せ、弁護士は依頼人との相談や法廷での弁論に集中する。そんな役割分担が進むでしょう。
つまり、AIは弁護士を「置き換える」のではなく、弁護士の仕事を「パワーアップさせる」存在になると言えます。
まとめ
AI弁護士をめぐる最新動向をまとめます。
- AIの法律スキルは急速に向上しており、ベンチマークスコアが1年で3倍以上に
- 海外ではThomson ReutersやLexisNexisが本格的な法律AIサービスを展開中
- 日本でもLegalOnや弁護士ドットコムが法務AIエージェントを提供開始
- 一方で、AIの誤り(ハルシネーション)率は17〜34%と高く、信頼性に課題が残る
- 弁護士の仕事がなくなることはないが、AIを使いこなせる弁護士が有利になる
AIと法律の世界は、今まさに大きな転換期を迎えています。今後も新しいサービスや規制の動きに注目していきましょう。


