「ai.com」が7000万ドル(約100億円)で売れた――。2026年2月、ドメイン取引の世界記録が更新されました。
買ったのは暗号資産取引所Crypto.comの創業者。しかもスーパーボウルのCMで、誰でも使えるパーソナルAIエージェントサービスを発表したのです。
この記事では、ai.comの全貌をやさしく解説します。
この記事でわかること
- 「ai.com」が史上最高額の7000万ドル(約100億円)で売れた理由
- ai.comで使えるパーソナルAIエージェントの機能
- ドメインを100ドルで買った少年が億万長者になった物語
- 日本のAIサービスへの影響
ai.comとは?史上最高額のドメイン取引
2026年2月、インターネットの歴史に残る大きなニュースが飛び込んできました。「ai.com」というドメイン(ウェブサイトのアドレス)が、7000万ドル(日本円で約100億円)という驚きの金額で売買されたのです。
これはドメイン取引としては史上最高額です。これまでの記録は、2010年に4970万ドルで売れた「CarInsurance.com」でしたが、ai.comはその記録を大きく更新しました。
たとえるなら、インターネットの「一等地の住所」を買ったようなものです。AIに興味がある人なら、まず「ai.com」と検索しますよね。それほど価値のあるアドレスなのです。
7000万ドルのドメインを買ったのは誰?
このドメインを購入したのは、Kris Marszalek(クリス・マルシャレク)氏です。暗号資産の大手取引所「Crypto.com」の創業者兼CEOとして知られています。
注目すべきは、支払いがすべて暗号資産で行われたという点です。つまり、日本円やドルではなく、ビットコインなどの仮想通貨で約100億円を支払ったわけです。
仲介を担当したのは、高額ドメイン取引で有名なLarry Fischer(ラリー・フィッシャー)氏が率いるGetYourDomain.comでした。マルシャレク氏は、暗号資産の世界で成功した経験を活かして、次はAI分野に進出しようとしています。
ai.comで何ができる?パーソナルAIエージェント
ai.comはただのウェブサイトではありません。ここで提供されるのは、パーソナルAIエージェント(あなた専用のAI助手)サービスです。
具体的には、以下のようなことができます。
- メッセージの送信:あなたの代わりにメールやチャットを送ってくれる
- スケジュール管理:カレンダーを整理し、予定を自動で調整
- 株の取引:指示に従って株式の売買を実行
- アプリの操作:いろいろなアプリを横断して作業を自動化
- プロジェクト管理:仕事の進行を助けてくれる
たとえば、「来週の会議を設定して、参加者にメールを送って」と言えば、AIエージェントが全部やってくれるイメージです。
ちなみに、登録から約60秒で自分専用のAIエージェントが使い始められるとのこと。無料プランもあり、有料プランではさらに高度な機能が使えます。
最大の特長は、AIエージェントが足りない機能を自分で作り出すことです。あるユーザーのエージェントが新しい機能を作ると、それがネットワーク上の他のエージェントにも共有されます。使う人が増えるほど、全員のエージェントが賢くなる仕組みです。
スーパーボウルCMで世界にお披露目
ai.comのお披露目の舞台は、なんとスーパーボウルでした。スーパーボウルとは、アメリカで最も視聴者が多いスポーツイベントで、毎年1億人以上が見ています。
2026年2月9日のスーパーボウルLX(第60回)の第4クォーターで、ai.comの30秒CMが放映されました。CMでは視聴者に「ai.comであなた専用のAIエージェントを作ろう」と呼びかけたのです。
その結果、大量のアクセスが殺到してサイトがダウンしてしまいました。それほど注目を集めたということですね。
スーパーボウルのCM枠は30秒で約10億円と言われています。ドメイン代と合わせると合計110億円以上の投資です。暗号資産で築いた資金力を、AIサービスの認知度向上に一気に投入した形です。
100ドルが7000万ドルに!売り主の驚きの物語
この話で最も驚くべきは、ai.comの元の持ち主の物語です。
売り主は、マレーシア出身のエンジニアArsyan Ismail(アルシャン・イスマイル)氏。なんと彼は1993年、10歳のときに母親のクレジットカードを使って、たった100ドル(約1万5000円)でai.comを購入していました。
理由は「AI」が自分のイニシャル(名前の頭文字)だったから、というシンプルなものでした。
つまり、約1万5000円の投資が、33年後に約100億円になったのです。利益率は70万倍という信じられない数字です。
ちなみに、イスマイル氏はマレーシアのテック業界では有名な人物です。ブログ広告ネットワーク「Nuffnang」のエンジニアを経て、自身の会社「1337 Tech」を2013年に設立しています。ビットコインの初期採用者でもあり、デジタル資産に対する先見の明がありました。
当初ai.comは1億ドル(約150億円)で売り出されていましたが、最終的に7000万ドルで合意に至ったと報じられています。
日本のAIサービスへの影響は?
この出来事は、AIサービスの競争が新しい段階に入ったことを示しています。
これまでAIエージェントは、MicrosoftのCopilotやGoogleのGeminiなど、大手テック企業が提供するものが中心でした。しかし、ai.comの登場で、暗号資産業界からAI分野への参入が本格化しています。
日本市場への影響として、以下のような変化が考えられます。
- AIエージェントの認知度アップ:スーパーボウルCMの影響で、一般の人もAIエージェントに興味を持つようになる
- ドメインの価値上昇:AI関連のドメイン名の価値がさらに高くなる可能性がある
- サービス競争の激化:日本のAI企業も、より使いやすいAIエージェントの開発を急ぐことになりそう
「AIエージェントが日常生活に入り込む」という流れは、日本でも確実に進んでいます。ai.comのような大型サービスの登場は、その流れをさらに加速させるでしょう。
まとめ
今回のポイントを振り返りましょう。
- 「ai.com」が7000万ドル(約100億円)でドメイン史上最高額の取引
- 購入者はCrypto.comのCEO、Kris Marszalek氏。支払いは全額暗号資産
- ai.comではパーソナルAIエージェントが使える。メール送信、株取引、スケジュール管理など
- スーパーボウルのCMで発表し、アクセス殺到でサイトがダウン
- 元の持ち主は10歳のときに100ドルで購入。33年後に70万倍のリターン
- AIエージェントの一般向け普及がさらに加速する見通し
100億円のドメイン名、そしてAIエージェントが当たり前になる未来。AIの世界は、ますます目が離せませんね。
参考文献
- Crypto.com places $70M bet on AI.com domain ahead of Super Bowl – TechCrunch
- ai.com Launches Autonomous AI Agents to Accelerate the Arrival of AGI – PR Newswire
- Malaysian Sells AI.com Domain to Crypto.com for Record US$70 Million – Fintech News Malaysia
- 「ai.com」ドメインが史上最高額の約110億円で売却 – GIGAZINE
- ai.com Launches with Super Bowl Ad – ai.com


