この記事でわかること
- 茨城県鹿嶋市が日本の自治体で初めてClaude(クロード)を使ったAIチャットボットを本格導入
- 実証実験で年間590時間分の職員業務を削減できる見込みが判明
- 利用者の83%が「役に立った」と回答
- 全国の自治体でAI活用が加速している最新動向
茨城県鹿嶋市が全国初のClaude導入自治体に
茨城県鹿嶋市は2026年4月1日、市の公式サイトにAIチャットボットの本格運用を開始しました。このシステムは、米国のAI企業Anthropic(アンソロピック)が開発した対話型AI「Claude(クロード)」を採用しています。自治体がClaudeを使った問い合わせ対応システムを正式導入するのは、日本で初めての事例です。
開発を担当したセルプロモート株式会社は、市のホームページに掲載された情報をAIに学習させる仕組みを構築しました。市民が「ゴミの出し方は?」「住民票はどこで取れる?」といった質問をすると、AIが市の公式情報をもとに答えてくれます。
実証実験で年間590時間の削減効果を確認
本格導入の前に、鹿嶋市は2025年12月18日から2026年2月28日まで73日間の実証実験を行いました。この期間中に約2,360件の問い合わせがAIチャットボットで処理されました。
鹿嶋市の試算によると、1件あたりの対応に職員が3分かかると仮定した場合、実証期間だけで約118時間の業務時間が削減されました。金額に換算すると約38.8万円分です。この利用ペースが1年間続いた場合、年間で約590時間、金額にして約193.8万円の削減が見込まれます。
つまり、AIが市民からの基本的な質問に答えることで、職員は複雑な相談や窓口対応など、人間にしかできない業務に集中できるようになったのです。
利用者の83%が「役に立った」と高評価
実証実験後のアンケートでは、利用者の約83%が「役に立った」と回答しました。具体的な評価の声を見てみましょう。
- 「市のホームページより分かりやすい」
- 「24時間いつでも利用できる」
- 「言葉遣いが丁寧で安心できる」
- 「窓口に問い合わせなくても、次に何をすればいいか分かった」
特に注目すべきは、夜間や休日に利用できる点です。平日の夕方に「明日、住民票を取りに行きたいけど、何が必要だっけ?」と思ったとき、市役所が閉まっていても、AIチャットボットなら即座に答えてくれます。
Claude と RAG 技術を組み合わせた仕組み
このシステムには、2つの重要な技術が使われています。1つ目は「Claude」、2つ目は「RAG(検索拡張生成)」です。
Claudeは、人間のように自然な会話ができるAI(大規模言語モデル、LLMと呼ばれます)です。ChatGPTと同じような仕組みですが、より安全で正確な回答ができると言われています。
RAGは、AIが答えるときに、あらかじめ用意された正しい情報を検索して参照する技術です。この場合は鹿嶋市のホームページを参照するため、AIが勝手に想像で答えることがなく、間違った情報を伝えるリスクが低くなります。
全国の自治体でAI導入が加速中
鹿嶋市だけでなく、日本全国の自治体でAIチャットボットの導入が進んでいます。総務省が2025年10月に行った調査では、全国の自治体の約74%がAIやRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)を導入しており、そのうちAIを導入している自治体は約62%に達しています。
東京都渋谷区は2025年3月に生成AIチャットボットを導入し、わずか2ヶ月で10万件の質問が寄せられ、77%がAIだけで解決できました。佐賀市では2025年2月の導入後、4ヶ月間で電話での問い合わせが15%減少しています。
職員不足と市民サービス向上を両立
自治体がAIを導入する最大の理由は、職員の人手不足と市民サービスの向上を同時に実現できる点です。少子高齢化が進む中、自治体の職員数も減少しています。一方で、市民からの問い合わせは増え続けています。
AIチャットボットは、定型的な質問に24時間365日対応できるため、職員は専門的な相談や複雑な手続きに時間を使えるようになります。働いている市民にとっても、夜間や休日に情報を得られるのは大きなメリットです。
まとめ
- 茨城県鹿嶋市が日本の自治体で初めてClaudeを使ったAIチャットボットを本格導入
- 73日間の実証実験で年間590時間の業務削減効果を確認
- 利用者の83%が「役に立った」と高評価
- Claude + RAG技術により正確で分かりやすい回答を実現
- 全国の自治体の約62%がAIを導入済み
鹿嶋市の取り組みは、他の自治体にとっても参考になる事例です。AIと人間が協力することで、より良い行政サービスが実現できる時代が始まっています。